産業プラットフォームの構築で25兆円超
中国の包装産業が世界第2位に

先日、杭州で「2013中国(杭州)世界包装産業フォーラム」が行われ、同時に世界包装産業センターによる全世界からの企業誘致がスタートした。新興成長産業の1つとして、中国の包装産業界における一定規模以上の企業の総生産額は2012年には1兆5000億元(約25兆2200億円)を超え、中国は米国に次いで世界第2の包装大国になった。専門家は今後10年、中国の包装産業の年平均成長率は20%を超え、引き続きその主導的な地位を保っていくだろうと予測している。

 

 

包装大国だが強国にあらず

製品に付随して各業界をサポートするものでありながら、包装産業の位置づけは一貫して漠然としていた。だが、世界的規模で急速に近代化が進むのに伴い、伝統的な包装業界は新たな科学技術革命の成果を敏感に受け入れ、また大量の雇用を吸収する、技術集約型と労働集約型が結び付いた新興産業に発展してきた。

中国では包装産業のスタートが遅く、規模も小さい上、技術も遅れており、集約化の程度も低い水準にとどまっていた。改革開放以前には、包装材料はシンプルで、科学技術を取り込む度合いも低く、流通段階で発生する損失は毎年100億元(約1680億円)を超えていた。しかし、30数年で中国の包装産業は急速な発展を遂げ、その総生産額は1980年の72億元(約1210億円)から2012年には1兆5000億元(約25兆2200億円)にまで増え、一躍米国に次ぐ世界第2の包装大国となった。長江デルタ、珠江デルタおよび環渤海湾の三大包装産業ベルト地帯が初期的に形成された。

中国包装聯合会副会長で、世界包装機構アジア包装センターの金祥佐総裁は「包装産業は年間総生産額が1兆元(約16兆8120億円)を超える中国でも数少ない産業の1つです。改革開放以来、特にここ10年来の飛躍的な発展を経て、中国の包装産業は比較的完全な産業体系を形成しており、製品カテゴリーも幅広く、包装に関する科学技術的な成果の多くはすでに国際的にも先進的な水準に到達しているばかりか、それを超えてさえいます」と語っている。

しかし、中国は包装大国であるとはいえ、まだ「包装強国」と言うほどではない。現在、中国の包装産業の企業数はすでに数十万社に達しており、温州だけでも5000社以上あるが、その内一定以上の規模を持つ企業はわずか2万社余りしかなく、大部分は小規模な零細企業だ。包装産業の「大きいが強くない」という矛盾は依然として非常に顕著であり、産業構造の合理性の欠如、製品のグレードの低さ、自主革新能力の弱さなどの問題点は中国の包装産業が発展する上での「ボトルネック」「脆弱性」になっている。

 

包装は科学と文明の目印

世界包装機構のトーマス会長は「包装産業は全世界的な産業であり、いかなる文化も包装無しでは語れず、包装無しでは生き残ることができません」として「世界各国の人びとは言葉が通じないことと税関が設けられていることによって分断されています。ただ、包装産業についていうなら、保存、貯蔵、収納、運送や販売などを含めて、異なった国と社会がどこも皆、同じようなことをしているのです」としている。

世界中小企業連盟の王家卓会長は「包装産業は『包装されないものはなく、発展が永続する』成長産業です。包装産業の発展やレベルは総合的な国力と競争力を現わすだけでなく、1つの国の科学技術の進歩と社会文明の重要な目印になるのです」と語っている。

金祥佐総裁は「発展の潜在力と今後の見通しでいうなら、包装産業は関連産業の発展を促す新興の主力産業に十分成り得るといえます。食品、薬品、農産品、繊維製品、工業製品など、ほとんどあらゆる製造業はどれも包装産業無しでは考えられません。包装は関連する産業チェーンの長さ、浸透性の強さ、関連性の大きさという特徴を備えています」としている。

現在、中国の農産品加工業の総生産額はすでに15兆元(約252兆1800億円)を超えているが、仮に加工の集約性と包装の先進性という問題を解決できれば、総生産額は少なくとも20%は高めることができる。つまり3兆元(約50兆4400億円)の生産値を増やすことができる上に、農民の雇用問題を解決し、農民の収入を増やし、都市化プロセスを推進することができるのだ。

 

包装で世界をリードする日

世界包装産業センターが杭州に拠点を定め、国際的な組織として初めて中国に世界的な産業センターを創設したことは、中国が国際産業の要害の地を押さえ、全世界的な発展に先んじるための得難いプラットフォームを奪い取ったことを意味する。その革新の集積、そこから発せられる影響力と先導的な役割は必ず中国と世界の先進レベルとの距離を飛躍的に縮め、中国が包装強国への追い越し車線に入るのを、飛躍的に後押しすることになるだろう。

金祥佐総裁は「世界包装センター発展計画の主要目標は、浙江省に立脚し、全国に布石を打ち、世界に向けて歩みだすこと」だとして「世界包装センターは中国の、さらには全世界の包装産業発展のための一大プラットフォームです。世界包装産業センター連盟の創設は包装資源の集約と循環利用を加速する上で有利に働き、エコ包装とその標準化を推進します。また、核心的な技術を掌握した優秀な産業人を集める上で有利に働き、包装産業と関連産業の業態転換、レベルアップと包装産業の持続的発展にとってのモデル的、先導的な役割を果たします」と語っている。

全国工商聯合会の王忠明副秘書長は「包装産業は経済のグローバル化、一体化を最も体現できるという特性を持っており、国際貿易の増加は包装産業の発展と不可分です」として「国際機構という資源を十分に利用して中国の包装産業の根幹を支えるプラットフォームを育成することは包装産業を新たな情勢の下で発展させる直近の近道です。同時に、こうした大きなプラットフォームを支えるためには中国が世界の包装産業の中で徐々にルールの制定権と国際的な発言権を備えることも必要です」としている。