外国為替資金残高が初の減少
「外資系グループ撤退」は全く根拠なし

最近、外国為替資金残高(中国で人民元に両替された外貨量)が減少しているのは、外資撤退の兆しといった分析もある。中央銀行の最新データによると、6月の外国為替資金残高は27兆3800億元(約435兆9000億円)で、5月比で412億500万元(約6900億600万円)の減少、今年初めてのマイナスだった。これに対し、国家外貨管理局関係部門の責任者は、「最近の中国の越境資金純流入の回復は、国際及び国内情勢、季節や政策などの要因が総合的に作用した結果である」との見解を示した。目下、外資系グループが撤退する兆しはなく、下半期の国際的資金は変動しつつ、バランスのとれた方向に向かうだろうと見られている。

 

今年初の前月比マイナス

中国の外国為替資金残高は昨年12月から今年の5月まで、6カ月連続で拡大したが、6月には今年初めて前月比で下降した。全体で見ると、今年上半期の外国為替資金残高は合計で1億5300万元(約24億4000万円)の増加だった。

国家外貨管理局の責任者は語る。「国際的・国内的に多方面の原因がある。米国経済復活が加速したため、米連邦準備制度理事会(FRB)は徐々に量的金融緩和政策を解除すると示し、5月以来、新興市場国家には貨幣価値の下落、株式相場の下落、資本の海外流出の兆しなどが見られた。同時期に、中国経済は下降の圧力に直面し、『中国への様子見』が市場に台頭し、人民元の為替相場の上昇力が弱まっていくと予想される。季節と政策要素から見ると、5~6月は中国国民が旅行・留学のハイシーズンであり、外資系企業の利益分配の集中期で、5~6月の月平均外貨購入の観光項目は1~4月より16%拡大し、投資収益は83%拡大した」。

 

大規模な撤退は出ていない

現在、外資の大規模な撤退という状況は、まだ現れていない。中国商務部研究院の金柏松研究員は「中国の資本規制により自由な両替ができないため、外国資本の大規模な出入りは不可能だ。しかも外国企業の直接投資はみな長期投資なので、短時間で大規模に流出することはない」と語った。

安邦コンサルティングチーフ研究員陳功氏は、「中国経済の成長が減速しているとしても、このとてつもなく大きい経済規模と巨大な消費マーケットの潜在力は、中国への投資には相変わらず豊富なチャンスが存在するということを示している」と話す。

 

外資の質と内容が徐々に向上

事実、中国が訴求する外資は、過去の数量への追求から、質の向上・構造の向上・技術促進の方向に転換している。高付加価値・ハイテク技術などが含まれる投資、また、ハイエンド製造業やサービス業の領域まで、すべての点で外資を引き付ける。

国連貿易開発会議(UNCTAD)の投資・企業局の詹暁寧局長は、「中国の外資訴求は成熟の段階に入っており、過去の経済が飛躍的な発展を遂げていた時のような急成長を再現することはとても難しい。中国が訴求する外資はこれから、数量的な成長から、質と内容の向上や合理化へと、さらに転換していくだろう」と見ている。