政府はデベロッパーの値上げ販売を厳重管理
北京の住宅価格はどこまで上がるのか?

80㎡で寝室2つの住宅が、北京市住宅都市農村建設委員会のサイトに登録された時には1㎡単価2万7959元(約42万9000円)なのに、購入者がその他に40万元(約614万円)余りの内装費を支払った後は、1㎡単価が一挙に3万2000元(約49万1000円)に跳ね上がる。実際の購入価格は登録価格より1㎡当たり5000元(約7万6800円)も暴騰する。デベロッパーが内装費をオプションにして値上げを図る「曲線加価」方式だ。

 

原因は需給のアンバランス

北京市住宅都市農村建設委員会のオフィシャルサイトで公開されたデータによると、5月27日時点で北京市の新築住宅在庫量は6万1000戸余りで、史上最低となっている。経験上、北京市の住宅在庫量の警戒線は約9万戸でこの数字を下回ると住宅供給が逼迫していることの兆しとなる。

ある統計資料によると、2013年5月の北京の商品住宅(保障性住宅は除く)在庫量は2012年の年初より42.9%減少している。その内、未完成住宅の在庫量は2012年の年初より49.9%減少している。これも新政策が実施されても、価格が下がらない根本的な原因だ。

不動産研究機関のある責任者は「政府が直接住宅価格を管理抑制し、値上がりを目論んだプロジェクトの販売許可証発行を厳しくしていますが、デベロッパーも簡単には妥協せず、少しでも値上げしようと画策するために、結果的にわずかのプロジェクトしか販売許可が下りず、開発プロジェクトが大幅に減少して、供給不足が深刻です」と語っている。

6月には北京で31の開発プロジェクトが市場に出回っているが、その内15が新規、16が既存プロジェクトの後期分だ。こうした、人為的に圧縮されたニーズがひとたび解き放たれると、住宅価格はさらに値上がりするだろう。

 

土地価格が倍に高騰

北京では史上最も厳格な住宅価格制限政策が執行されているのに、南部の通州台湖鎮の多くの土地が高値で取引されている。その内の、用途範囲の広いある土地は60回以上も価格を競った挙句、元値の230%で成約した。

北京の西南三環路の内側に位置する豊台区花郷夏家胡同の土地は現在競りにかけられている最中だが、立地条件が注目されて多くのデベロッパーが関心を寄せ、入札の開始価格は1㎡当たり1万9700元(約30万2600円)にまで高騰し、北京の三環路は再び「地王」を生むと見られている。業界筋では、土地の成約価格は1㎡当たり3万5000元(約53万8000円)に達し、さらに建築などの開発コストを加えると、土地上の建物販売価格は1㎡当たり7万元(約107万5000円)に達するだろうと予測している。

美聯物業(不動産管理)全国研究センターは、土地市場は商品住宅市場の大本であり、土地価格の上昇は直接建築コストの上昇につながって、それが住宅価格のいっそうの上昇を招くとしている。

再び新たな「地王」が続けざまに現れるにつれ、土地コストの高さは必然的に商品住宅価格を絶えず押し上げる。もし不動産市場管理によってコスト圧縮や需給矛盾を緩和することができなければ、本当に抜本的な成果は生まれないと予想される。

 

需要が集中する都市

北京の住宅価格が高いのは北京以外の富豪によるものと多くの人が考えている。豊かな人間が住宅を購入するのは、多くが財産価値を保持するためで、記者の知る限り、多くの富豪が北京で住宅を買うのは利便性のためであって、極端な場合、面子のためでさえある。

専門家は「北京などの第一線都市では都市化がすでに終わりに近づいており、今後供給が大幅に増加する可能性はありません。こうした都市では供給は増えず、需要が大幅に集中します」と指摘している。

2012年に住宅購入制限令が発効し、北京では市場支配力が極度に発揮されて、大規模な不動産投機を行っていた者が姿を消した。しかし、その後も住宅価格が下がらない主な原因は市場の実需が大量に湧き出て来たからである。

 

住宅価格を「冷ます」改革を

中国国家情報センター経済予測部の祝宝良主任は「高い住宅価格などを含めた、中国が直面する多くの経済的難題を解決するには、改革の推進に頼る以外ありません。戸籍、土地、財産税制度など、都市化推進の妨げとなる制度を打ち破ることを突破口に、改革を進めるべきです」と指摘している。

実際、北京市政府はすでに動き始め、2013年には「通州に焦点を当てた副都心建設の積極的推進。順義、亦庄-大興、昌平、房山の新市街建設の加速による、機能の完備した住みやすく仕事のしやすい総合的な新都市建設」を再び提唱している。これは、政府が都市化という潮流の中で地価を不動産市場の実需レベルまで抑え込もうとしているのだ。

高止まりしている住宅価格を「冷ます」抜本的な方法は、市場での供給を増やし、不動産の空き室率を下げることである。さらには、政府が地価の低減や税額の減少などのような「利益面での譲歩」を学ぶことだ。

北京市住宅都市農村建設委員会はすでに誓紙を入れ、第2四半期に住宅価格を多少改善することをコミットするとともに、未完成住宅ばかりでなく、既存の住宅に対しても価格制限を行う「史上最も厳しい価格管理」を採ることを決定した。販売の審査には新たに副市長の署名という「関門」を増やす。2013年の住宅価格抑制目標について、北京市はすでに各区、県それぞれに対して現状の住宅価格抑制目標数値を説明し、それぞれの責任者に直接通達済みだ。