購入制限政策「緩和」による都市への影響は

11月2日、昆明市は2017年および2018年に導入された不動産に関する政策を廃止することを発表した。これにより、再び大都市が分譲住宅の販売制限および購入制限政策を撤廃したことを意味する。2023年9月以来、国内では10以上の超大・特大都市が分譲住宅の売買に関する制限の見直しを行っている。


購入制限の緩和と、下半期に導入された「認房不認貸」(その家族が以前に商業ローンを使用し住宅を購入したかどうか、またはローンの記録があるかどうかに関わらず、購入時にその家族全員が市内に住宅を所有していなければ、初の住宅と見なされ、住宅ローンの申請ができる政策)や二軒目の住宅の頭金比率の引き下げなどの新しい不動産政策が加わったことで、不動産市場にどのような影響が生じるのか。

 

多数の二線都市で住宅購入制限の全面的緩和

購入制限政策の下で、住民が住宅を購入する際には、個人の財政状況だけでなく、住宅購入の資格を有しているかも重要であった。しかし、8月25日、浙江省嘉興市は21項目の不動産関連の新政策を発表し、即日より住宅購入戸数に制限をかけないこと、全ての分譲住宅(元々購入制限のある住宅も含む)の転売に制限をかけないことを明確にした。この政策は市場で広く注目を集めた。その後、国内の多くの大、中の都市が関連政策を次々に公布し、以前に実施されていた住宅購入制限政策を改善している。

中指研究院のモニタリングによると、9月以降、各地での住宅購入制限緩和策として、全面的な制限解除、制限の対象エリアの縮小、特定の面積における制限取消、優遇対象となる人材や多子家庭のための制限の改善などが主となっている。

それぞれのランクごとに都市の傾向を見ると、現在、南京、蘇州、青島などを含むいくつかの二線都市および新一線都市が制限の取消を発表している。また、北京、上海、広州、深圳などの一線都市では、特定エリアにおいて既存の住宅購入制限政策の一部調整が行われている。

 

一部都市で不動産市場回復の兆し

多くの都市での住宅購入制限政策の調整から1カ月以上経過した今、不動産市場の反応はどうなっているのか。

南京市住宅保障及び不動産局副局長の蒋海琴氏によると、南京ではさまざまな住宅ニーズをそれぞれのレベルで満たすために多くの不動産政策を導入している。データから見ると、南京市全体での分譲住宅の一日平均取引量、中古住宅の新規顧客数、および見学数が全て増加しており、市場の活気がいくらか向上している。

購入制限の緩和に加えて、ここのところ一部の都市では、住宅購入の強い需要と住宅の売り出し需要の消費者層の負担を軽減するために、様々な不動産促進政策が導入されている。

複数の不動産政策が組み合わさり、不動産市場では初めて良い発展の兆しを見せている。国家統計局の副局長である盛来運氏は、「不動産投資の状況から見ると、9月の不動産投資データは前月比で改善しており、不動産の新規工事面積の減少幅も縮小している」と述べている。

 

不動産市場に未だ政策改善の余地あり

業界関係者は、最近、多くの地域で不動産市場に関する新しい政策が導入されたことで、短期間による住宅販売の改善に良好な影響を与え、ある程度のレベルにおいて消費者の住宅市場に対する自信を高めたと考えている。

中指研究院が発表した「9月における住宅購入意欲調査報告書」によれば、9月に全国各地で緩和政策が集中的に導入されたことで、住民の住宅購入需要を向上し、購入コストを削減し、市場に対する期待を改善し、住宅購入意欲を促進したとしている。

ただし、報告書は同時に、9月の住民の住宅購入意欲が一時的な上昇の後に、低下する傾向があることを指摘している。具体的には、「認房不認貸」や頭金比率の引き下げ、大都市の住居購入制限緩和などの大規模政策が導入された後、住民の住宅購入意欲が一時的な急上昇を見せ、初めは39%に達したが、その後急速に低下し、24%まで減少した。

購入制限の取消や緩和などの不動産政策は、住民の期待と購入意欲を向上させる利点があった。しかし、このような意欲が実際に住居の購入につながるかどうかは、依然として各家庭の購買能力、収入水準、都市の住宅価格の傾向に依存していると、首都経済貿易大学京津冀不動産研究院院長の趙秀池氏は分析している。

「市場への信用を継続的に高め、それを住宅の購入に繋げるには、時代遅れの購入制限、融資制限、価格制限、販売制限などの政策をこれからも継続的に調整し、他の不動産市場に好影響を与える政策と組み合わせ、購入者の住宅購入コストを低減する必要がある」と趙秀池は述べる。

「現在、購入制限政策を調整していない都市や地域でも、人口流入は依然として比較的多く、未だ住宅購入の強い需要と住宅の売り出し需要が多く存在している。現行の購入制限政策を維持することで、これらの都市が中小都市に対してストロー効果をもたらすことを抑制できる。一方、一部の不動産市場で供給が明らかに需要を上回っている都市においては、適切に購入制限政策を緩和または取り消すことで住宅需要を刺激することができる」。

易居研究院研究総監である厳躍進氏によれば、現在、一部の一線都市の住宅購入制限政策にはまだ改善の余地があるという。「上海の金山区、広州などは、自身の人口発展傾向などを考慮して、特定の購入政策を導入したことで、一定の不動産市場の期待を高める効果があった。しかし、一部の都市の中心地域ではまだ購入制限政策が実施されていることで、中古住宅市場における取引を阻害しており、ある程度不動産市場の活性化に影響を与えている。今後、一線都市は郊外や新規開発エリアなどの物件に対してさらに購入制限や販売制限などの政策を緩和し、一線都市の外縁エリアでの不動産取引を促進し、特に中古住宅市場を活性化させれば、市民の住宅需要を満たし、不動産市場の健全かつ安定した発展を促進することができる」。

住宅・都市農村建設部部長の倪虹氏は、今年の不動産市場は「前半は好調、中盤は低迷、後半は安定している」と総括し、「認房不認貸」や「頭金比率と利率の引き下げ」などの政策が的確な効果を発揮していると述べた。「不動産市場の状況に対応するため、国家は一連の重要政策を定め、公営住宅などの『三大工程』(公営住宅事業、都市内部旧住宅の改装事業、平時災害時併用住宅事業の3つを指す)の実施など、不動産開発の新たな発展モデルを構築し、異なる所有制企業を合理的な融資ニーズを平等に満たす。住宅・都市農村建設部は関連部門と協力し、地方でも真剣に大規模計画を実施するため指導を行い、人々の住宅需要を満たし、不動産市場の安定並びに、健全、高品質な発展を促進するために努力する」と述べている。