ECが中国経済成長の起爆剤に

スプートニクの報道によると、先ごろ、中国商務部電子商務司の責任者は、2023年1月から10月の中国のEC小売売上高は12兆3000億元(約254兆6000億円)を超え、11.2%増となり、EC小売売上高が社会消費財小売総額に占める割合は32.1%に達した。

中国は世界最大のEC市場

 『日本経済新聞』の報道によると、アメリカでは、TemuやSHEINなど、中国のECプラットフォームの利用が激増している。10月にこの2社のプラットフォームを利用したアメリカのユーザーは1億人を超え、アメリカ最大のECプラットフォームであるアマゾンのユーザー数の90%に迫った。

 近年、中国のEC市場は拡大を続けており、発展の勢いはすさまじい。中国物流購買連合会のデータによると、10月の中国のEC物流指数は111.9ポイントで、5カ月連続で110ポイント以上をキープしている。

 現在、中国のEC業界の発展には次のような特徴が見られる。

まず、取扱量の増大である。中国は世界最大のEC市場である。国家統計局のデータによると、2022年の全国のEC小売売上高は13兆7900億元(約285兆5000億円)で、前年同期比で4%の増であった。そのうち、実物商品の小売売上高は11兆9600億元(約247兆6000億円)で、社会消費財の小売総額の27.2%を占めており、ネットショッピングが消費者の主要な購買方法となっている。

第二に、独創性である。ECと情報技術との融合「インターネット+」によって、オンデマンド・リテール、ライブコマース、モバイルソーシャルeコマースなどの新業態モデルが急速な発展を遂げている。

第三に、社会的な影響力である。ECの起業はハードルが低く、形態も多様であり、雇用の創出や消費の促進に有効である。

 中国のEC業界の急成長には多くの要因がある。

 第一に、インターネットの急速な普及である。中国政府は長年にわたって、情報インフラの建設に力を入れてきた。ブロードバンドの普及と高速化、インターネット回線料金の引き下げがECの発展に大きく寄与し、巨大なユーザー層を形成した。

 次に、中国のEC業界の発展は、中国の製造業及び物流業の発展に負うところが大きい。中国の製造業は13年連続して世界トップの座にあり、豊富な商品と強大なサプライチェーンがEC業界発展の重要な支柱となっている。

また、ECには効率的な物流業務が欠かせない。近年、中国では宅配業が急速に発展し、互いを補完し合う形だ。中国の多くの民間宅配業者はフランチャイズに加盟し、コスト高の問題を解決している。

 第三に、中国EC業界の発展は、国の支援政策に負うところが大きい。長年にわたり、中国政府関連部門は包摂的かつ慎重に監督管理を行い、安全性を担保しつつ新業態の発展を見守り、EC業界の発展を後押ししてきた。

電商ライブ基地でライブ中継を行う村民(江蘇省)

ECは中国経済の起爆剤

 EC業界は、内需の拡大、対外貿易の安定化、国際協力の深化に重要な役割を果たし、中国経済の起爆剤となっている。国家統計局のデータによると、今年の第3四半期までの全国のEC小売売上高は10兆8000億元(約223兆6000億円)で11.6%増加し、社会消費財小売総額の伸び率を4.8ポイント上回っている。

このうち、実物商品の小売売上高は前年同期比8.9%増で、社会消費財小売総額に占める割合は、前年同期比で0.7ポイント上昇した。衣食住交通から娯楽に至るまで、ECは中国の庶民の生活のあらゆる方面に浸透していると言うことができる。

 さらに、中国の越境ECの急速な発展によって、「世界規模で買い、世界規模で売る」という中国の強みは一層増し、ポテンシャルは解き放たれ、対外貿易のハイクオリティ発展の新たな原動力になっている。

税関のデータによると、2022年の中国の越境ECの貿易額は全国の貨物貿易総額の4.9%を占め、2021年と同水準である。現在、中国の越境ECは海外に1500の倉庫を持ち、総面積は1900万㎡を超える。

 現在、中国の大手EC企業は、ライブコマース、インテリジェントカスタマーサービス、AIによるネット配信等によって、更なる拡大を模索している。さらに、越境ECと中国の競争優位産業を融合させることで、世界の消費者のニーズをさらに満たし、中国ブランドのイノベーションをリードすることができる。

 2016年には、中国と「一帯一路」共同建設国であるチリの間で、電子商取引協力に関する初の覚書が署名され、「シルクロード電子商取引」の国際協力が始まった。

これまでに中国は30カ国と二国間電子商取引協力覚書を締結しており、「シルクロード電子商取引」は世界5大陸をカバーし、パートナー国との国際経済貿易協力の新たなチャネル、新たなハイライトとなっている。「シルクロード電子商取引」に関する国際協力の継続的な深化は、「一帯一路」沿線諸国における電子商取引関連分野の建設を大きく促進するであろう。