世界の航空業界が中国市場に注目

最近、南アフリカ航空、シンガポール航空、ルフトハンザドイツ航空、スカンジナビア航空など多くの外国航空会社が次々に中国市場に参入し、直行便やチャーター便を就航させており、中国人観光客の海外旅行はたいへん便利になっている。

 

全世界の乗客数の25%

中国人が占める見込み

 今年初め、南アフリカ航空が北京・ヨハネスブルグ間の直行便を就航させた。これにより、中国大陸と南アフリカを結ぶ直行便がない時代は終わりを告げた。定期便は週3便で飛行時間は約15時間。旅行客の乗り継ぎによる時間のロスは大幅に削減された。

 スイス航空は、現在週5便の北京-チューリッヒ間の直行便を5月31日から週7便に増便する。北京は上海と香港に続き、中国で同社が毎日サービスを展開する第3番目の都市となる。

 シンガポール航空は、1985年に中国に乗り入れて以来、中国を重要な市場の一つと位置づけている。3月25日からシンガポール航空と傘下の地区子会社である勝安航空(シルクエアー)とは毎週100便を超える便を運航しており、中国大陸とシンガポール間は北京発着が週28便、上海発着が35便、広州発着の直行便が12便となっている。

過密な就航ダイヤと路線ネットワークは、中国人乗客に利便性とスピーディーな選択肢を提供しており、シンガポールから同日中のオーストラリア、ニュージーランド、西アジア、アフリカおよび欧州への楽な乗り継ぎを実現した。

 日本の全日空は現在、日中間で21路線が就航しており、毎日直行便26便が中国各地の11都市から日本の主要空港まで運航している。

全日空はまた、スターアライランスのメンバーである中国国際航空と他社に先駆けてコードシェア(共同運航)便を実現し、日中間ではカバー面積が最も広い航路ネットワークシステムをつくっている。その結果、中国から出発した乗客は、当日中に日本のほとんどの都市に到着することができる。

 メガモルディブ航空は現在、北京、上海、重慶とマレ間で直行便を就航しており、今年は新型航空機を導入し、5路線を新たに就航する予定。5月20日からは北京-マレ間の直航チャーター便を倍増し、5日に1便から5日に2便とする。

 外国の航空会社が中国での展開をますます重視していることは、中国という巨大な市場空間と切り離して考えることはできない。

ある外国の航空会社は、今後3年以内に全世界の航空業予想乗降客数は8億人となるが、そのうち2億1400万人は中国からの乗降客であり、中国は全世界航空運輸量の増加に大きく貢献すると予測している。

 

地方都市に注目

 外国の航空会社は、北京、上海、広州などの大都市以外の地方都市にも注目し始めている。現在、武漢、西安、瀋陽、アモイ、青島など多くの地方都市にはすでに膨大な航空路線の乗降客があり、国際航路を増設し旅行客増加に対応する必要がある。

 本年3月、ルフトハンザドイツ航空は瀋陽・フランクフルト路線を正式に就航させた。これは瀋陽桃仙国際空港にとって初めての欧州直行便就航であり、毎週火、木、土曜日に瀋陽を出発し、月、水、金曜日に帰着する。

新航路は瀋陽にとって初めての欧州直行便であり、東北三省の旅行客は上海、北京を経由してヨーロッパに行く必要がなくなり、旅程は大幅に短縮された。

 シンガポール航空傘下の地域子会社である勝安航空は、成都、重慶、アモイ、深?、昆明および長沙にターミナルを開設した。4月24日、勝安航空はシンガポール・武漢路線を就航、毎週3便を運航し、華中地域と華南地域の旅程に便利なサービスを提供している。

 フィンエアーは5月9日から重慶-ヘルシンキ間の運航を開始したが、これは重慶市にとっては初めての欧州直行便であり、また中国西部地域での初めての欧州直行便路線である。この航路は当初週4便で、年間延べ約10万人の旅客数を見込んでいる。

韓国の大韓航空は、まもなく韓国と桂林を結ぶチャーター便22便を就航し、韓国の旅行客を桂林観光に呼び込む予定である。2011年末までに大韓航空は、中国23都市との間に30路線を就航させている。

大韓航空と湖北省観光局とは戦略的協力合意を締結し、航路と便数を適宜増加していく予定であり、ソウルから武漢への直行便は、韓国の旅行客が中国各地へ乗り継ぐための最高の中継点となるだろう。

 

中国人乗客のための特別サービス

外国の航空会社が中国市場に乗り入れる際には、各社ともそれぞれのポジショニングと特色あるサービスを打ち出している。

南アフリカ航空のヨハネスブルグへの直行便には、中国人乗客のために中国語が話せる乗務員を最低一人は乗務させている。スイス航空はすべての北京-チューリッヒ便に中国籍の乗務員を配置している。

 全日空は中国語の公式サイトを絶えず更新しており、中国人乗客はネットでのチケット予約が可能だ。日本国内では中国人乗客のために各地の空港カウンターに中国語のできる職員を配置し、案内表示やガイドなども中国語を併記している。

また全日空は、ミニブログを開設し、顧客のために無料で日本を体験できる各種の機会を提供している。

 シンガポール航空は中国発の定期便すべての座席に『銀刃世界』という個人用娯楽システムを搭載。中国語による操作ガイドも用意されており、乗客はテレビ、ゲーム、音楽を楽しむことができる。

中国人乗客によりよいサービスを提供するため、中国発着のすべての定期便には中国籍の乗務員が配置されており、その他の乗務員も中国語でのコミュニケーションが可能だ。

シンガポール航空は中国市場に向けて、常時、優待キャンペーンを行っており、中国人乗客は毎月1日から15日の間に同社や勝安航空の公式サイトに登録するだけで、2カ月先までの優待価格のチケットを予約購入できるというキャンペーンが4月1日から始められている。