不動産に頼れなくなった地方経済

不動産規制政策が浸透するにしたがって、土地市場価格に対する影響が徐々に明らかになってきた。中国国土資源部の統計データによると、第1四半期全国不動産用地供給量は前年同期比で18%減少し、105カ所の都市の住宅用地の地価は前期比0.04%下降した。

今年前半の4カ月間で、上海では建築用土地取引面積が同期比3カ月連続で減少しており、北京も土地の含み益が3カ月連続ゼロとなっている。

 業界関係者によると、全国各地の土地価格が下がり続けているのに伴い、今まで過度に土地収入に依存していた地方政府の成長方式も継続が難しくなることが予想され、地方政府は土地に頼った発展モデルに別れを告げ、経済メカニズムの調整と転換の歩みを加速させ始めている。

 

土地バブルが経済不安定に

 長期にわたり、活力ある発展を遂げてきた中国の不動産業は、すでに地方政府の財政の重要な支柱となっており、土地価格の高低は地方政府の財政収入に直接関係している。

長年続いた地価の高騰は、地方政府の不動産市場への過度な依存を生み、実体経済の安定を損ねている。

 統計データによると、2011年の土地売買による収入は中国の地方財政収入の50%以上に達しており、個別に見ると土地譲渡による収入が財政収入の80%を占めている地区もあるほどだ。

特に、不動産人気が爆発した2007年には不動産市場はさらに狂乱的な価格高騰となった。この年、十大不動産企業の売上高は1532億元(約1兆8800億円)に達したが、土地の購入には1515億元(約1兆8600億円)が支出され、その比率は売上高の99%となった。

 不動産アナリストによると、不動産バブルの継続を容認して不動産価格を規制しなければ、国内の富は一層不動産投資に移転していくことになり、さらに対外貿易と投資の業績が下降し、国内の実態経済は弱体化に向かうに違いない。インフレによる物価上昇、失業率の上昇は中国経済の持続可能な発展を阻害するだろう。

 この2年間、不動産マクロ規制政策が徐々に浸透するのに伴い、実態とかけ離れた土地価格はしだいに理性を取り戻しつつある。

統計データは、昨年第4四半期から100の都市で土地譲渡価格の上昇幅が縮小し始め、企業の土地購入に対する信頼も下降し、土地取得面積の増加スピードにもブレーキがかかり始めたことを示している。

 

土地価格の下落は

投機抑制に役立つ

 不動産規制政策の土地価格に対する影響は顕著になっており、供給の増加、需要の減少が不動産企業の土地購入意欲を徐々に減少させている。

国土資源部のデータによると、今年第1四半期の全国建設用地供給は11.44万ヘクタール、前年同期比33.6%増加している。そのうち、住宅用地の供給は23.6%を占めており前年同期比で18%減少している。

 中原グループ研究センターは、土地市場の低迷はデベロッパーが今後の市場を下落傾向にあると見ていることを反映したもので、デベロッパーの土地ストックのスピードが明らかに減速していることは、デベロッパーが現在は在庫調整の段階にあることを示しているとしている。

今年、土地譲渡側が供給している用地はもちろん価格も価値ともに比較的控えめであり、土地市場への投資の沈静化を招いている。

 不動産アナリストは、土地価格の下落は投機資本の不動産市場への積極的な参入意欲を減退させ、不動産企業の淘汰を加速させるとともに、不動産業界の再編を加速し、市場の寡占度を明らかに高めるだろうとしている。

不動産規制政策実施の継続に伴って、この先一定の期間内に、土地の供給メカニズムは根本的に変化するだろう。

供給不足から供給過剰への転換は、不動産企業が今までのように地価と住宅価格の上昇から暴利をむさぼっていた時代がすでに過ぎたことを意味しており、総合開発能力と経営効率の向上から利益を得る時代がまさに到来しようとしている。

 

経済の転換が基本的な活路

 事実、北京と上海の地価は大幅に下落しており、土地取引契約成立量の持続的反落傾向は、大都市から二、三線クラスの都市に徐々に広がりつつあるところである。

北京中原不動産の張大偉氏は、この現象は不動産購入規制、ローン制限、増税、供給増が不動産市場に重層的な作用をもたらした結果であるとしている。

最近各地で土地供給を増やし始めたが、土地市場は依然として1年余りの低迷状況から脱してはおらず、大都市の回復はとりわけペースが遅い。資金不足のほか、政策面での引き締めの中で、規制の影響を受ける不動産市場に対する信頼が短期間で回復することは難しい。

 これまでずっと土地に支えられていた地方財政が引き締めを開始し、政府が不動産市場の規制は緩めないと何度も表明していることも、不動産企業の市場への信頼がすぐに回復しない原因となっている。

これが地方政府に従来の土地に頼った発展方式を転換せざる得なくなるよう迫っており、経済モデル転換に対応せざるを得ないという試練となっているのである。

 中国不動産学会の陳国強副会長によると、今まで不動産企業の利益モデルの最も基本的なものは地価上昇によるものであったが、現在このようなモデルは持続が難しくなっており、開発力、管理力を向上させ、開発の循環を通して利潤を上げなければならない。

また、住宅価格が合理的な価格サイクルに回帰するよう共同で努力していく必要がある。特に地方政府は地価に対して合理的な予測をすべきであり、同時に税金による負担を減らすべきである。

他方、政府にとって、本当にチャレンジする対象は規制ではない。「土地で稼ぐ」という発展モデルはすでに持続不可能であり、この発展モデルを転換することこそが基本的な活路である。

 住宅および都市農村建設部政策センターの秦虹主任は、不動産規制はさらに長期的メカニズムに注目しているという。絶え間なく増加し続ける住宅への需要を満足させるため、大都市の住宅供給を増やす必要がある。

中国には600余りの都市があり、発展する余地はまだ大きい。今後、都市には発展構造の調整がさらに重要であり、就業機会が多く、潜在力が大きく、若者を引きつけられる都市が、不動産産業が成長する余地の大きい都市と言えよう。