2011年の消費者物価上昇は5.4% 12月の上昇幅は15カ月来最低
2012年の物価上昇幅は大幅反落?!

国家統計局は1月12日、2011年12月のCPI(消費者物価指数)が対前年同月比4.1%の上昇で、この15ヶ月間で最低となったと発表した。人々を震撼させ、一貫して高止まりしていた消費者物価指数は、2011年7月には6.5%にまで達したものの、現在の低水準で市場は多少息をついている。だが通年の消費者物価指数上昇率は依然として5.4%の高い水準にあり、政府の目標値である4%を超えている。

  

上昇の圧力はやはり食品

 消費者物価指数は2011年7月にピークを付けた後、徐々に下がり始め、特に10月と11月は急激な下落傾向を示して11月には4.2%となったものの、12月には鈍化の速度がそれまでに比べ明らかに減速した。交通銀行のチーフエコノミスト、連平氏は本紙のインタビューに対し、次のように分析している。

「12月の消費者物価指数の対前年上昇率の下げ幅が鈍化した主な原因は、消費者物価全体の水準のキャリーオーバー(繰り延べ)効果が失われ、新たな値上がり要素が4.1ポイント発生したこと。さらに祝祭日など季節的要因の影響で食品価格の対前月比が1.2ポイント上昇したためだが、食品以外の価格は引き続き下落傾向を示している。ただ、物価水準の循環トレンドの角度から見ると、消費者物価指数の上昇幅が鈍化する傾向に変化はない」。

 消費者物価指数の反落が続いている主な理由について専門家は、マクロ経済の減速が需要圧力の減速を引き起こし、流動性の緊迫が物価上昇の資金圧力を軽減し、食品価格の上昇幅の鈍化とキャリーオーバー効果の影響が徐々に失われて来たためだと分析している。

 12月の物価上昇圧力は依然として食品によるものであり、同月の食品価格の対前年同月上昇率は9.1%で、消費者物価指数を2.8ポイント押し上げる結果につながった。中国財政部財政科学研究所の劉尚希副所長は、「これは、中国の物価上昇の原因が、主に通貨供給量ではなく経済成長率によるもので、総需要が大きすぎるからではなく需給の仕組みに問題があるためだ。2012年の貸付政策はポイントを抑えた構造的操作が必要であり、単なる総量規制であってはならない」と語っている。

  

2012年の消費者物価指数は

「ゆっくりと底を探る」展開に

 下落しつつあるとはいえ、2011年通年の消費者物価指数の上昇率は5.4%であり、依然として政府の抑制目標値である4%をはるかに超えた高い水準にある。その原因について連平氏は、「主に食品と国際大口商品の価格上昇が招いたものだ」と指摘している。

 著名な金融コメンテーターの葉檀氏は、「2011年の消費者物価指数が年初目標の4%を大幅に超えたのは、あるいは通貨の発行量が多すぎたことが主要な原因かもしれない。それ以外には、年間を通じて物価の転換点が見えなかったことも、数字の高止まりにつながっている」と考察する。

 2012年の物価傾向については、市場は楽観的だ。興業銀行チーフエコノミストの魯政委氏は「1月の消費者物価指数は12月と同程度か、あるいは若干反騰するが、2月以降は急激に下落し、年内には底を打ち、2012年全体では『ゆっくりと底を探る』状態が現れると」と予測している。

 連平氏は次のように考察する。

「2012年の中国の物価上昇幅は2011年と比べれば大幅に鈍化するだろう。その原因として、一つは国際大口商品の価格下落傾向が続く見込みであること。

今後、国内外の原材料コストは引き続き下がり、国内製造業のPMI指数 (購買担当者指数)と工業付加価値額の対前年上昇幅の鈍化は生産ニーズの普遍的な反落、経済成長の減速を示しており、物価の上昇を抑制すること。

二つ目は、政府のこれまでの調整措置が徐々に効果を発揮し始めること。2011年のマネーサプライ・M2、 M1累計の増加速度はそれぞれ13.6%、7.9%まで下がり、ここ十数年で最も低い値となっている。

さらに2012年に金融政策が全面的に緩和される可能性は小さく、これまでの緊縮の効果が比較的長期間続き、少なくとも2012年上半期までは影響する。

また政府のこれまでの物流コスト低減による農産物流通促進のための政策措置が徐々に効果を発揮し、物価上昇圧力がすでに効果的に緩和されて来ている。

三つ目には、今後農産品価格が安定的に下がる可能性が大きいこと。2012年の国際食糧価格の対前年比は引き続き下がると見込まれ、国内の食糧価格は安定を保ち、豚肉価格の上昇幅も周期的に反落するレールに乗るだろう。最後に、2012年は消費者物価指数のキャリーオーバー効果が2011年より1.4ポイント減少するだろう」。

  

金融政策は適度に緩和される可能性

 では2012年の消費者物価指数の上昇幅はどれくらいになるのだろうか。

連平氏は、対前年上昇幅は2.7%から3.3%、平均すれば3%前後で、第1から第3四半期までは下がり続け、第4四半期に多少反騰傾向が見られるだろうと予測している。

 ただし、これとは違う見方をする専門家もいる。著名な学者の曹鳳岐氏は、「2012年は国内、国外とも経済の不確定要因が多く、物価がどれだけ下がるかは期待できず、逆に反騰する可能性さえある。2012年を通じて、物価抑制は依然として重い課題だ」と語っている。

 連平氏は「物価全体の水準は下がるが、構造的なインフレ圧力は依然として存在する。まず、産業構造調整段階のPPI(生産者物価指数)の下落幅がCPI(消費者物価指数)より高く、農業生産コストのわずかな上昇幅が農産品価格の小幅な上昇を招く。

次に、国内外の経済は2012年末には回復し、国際大口商品の価格を押し上げる。さらに、インフレの後退段階で資源品と資源サービス価格に対する改革措置が深まり、中長期の物価水準をゆっくりと押し上げる。最後に、土地価格、労働力コストが徐々に上昇するという中長期のインフレ圧力が持続する」と指摘している。