危機的状況のアメリカを救いさらなる雇用を創出
中国からの投資増はアメリカ経済の再生に有益

アメリカ商務省の政府職員はこのほど、中国はアメリカへの海外投資の中で重要な位置をすでに占めているとの見解を示した。2010年に中国の対米投資の累計は60億米ドルに達し、この5年間の対米直接投資の累計は53%増加し、中国はアメリカへの海外投資増加の最速の伸びを示す国となった。

アメリカでは、経済低迷の状況下、海外からの投資を集め経済の回復を成し遂げることが目下の急務である。

中国が対米投資のスピードを加速することによって、アメリカは債務危機から抜け出すために、多くの雇用を創出することができる。このことは、アメリカが経済の危機的状況から抜け出せるだけでなく、中国企業が海外に視線を向け、アメリカの広大な市場を開拓することにも有益なのである。

アメリカ市場は中国の投資を歓迎

データで明らかなように、2010年の中国の対外直接投資純額は688.1億米ドルで、全世界におけるその年の流通量の5.2%を占め、世界第5位となり、初めて日本やイギリスなどの伝統的投資大国を追い抜いた。

現在、中国の対外投資範囲はすでに世界178カ国・地域に広がり、2010年には、中国の対外投資企業の国外における納税は117億米ドルに達している。そして、現地の78万人の雇用問題を解決し、対外投資の急速な発展は、単に中国のみならず外国にも巨大な利益をもたらしている。

「アメリカ政府について言うなら、最も重視しているのは海外からの投資がもたらす雇用である。2009年現在で、中国の対米直接投資はすでにアメリカに1万人の雇用を生み出している」、とアメリカ国務省「アメリカを選ぶ(セレクトアメリカ)」投資促進計画主任理事のバリー・ジョンソンは指摘している。

精華大学経済外交研究センターの何茂春主任は、次のように述べている。

「中国は現在、海外への投資能力及び増え続ける投資ニーズがあり、このことは、アメリカの現在の経済回復及び長期的な海外との協力というニーズに合致している。アメリカの資本が中国に投資するのみならず、中国の資本がアメリカに投資することもでき、二国間の投資は順調にいっている」。

中国の投資がアメリカの苦境を救う

アメリカは、今年から債務危機が深刻化し、国としての信用評価が下降するという影響を受けて国内経済が低迷を続けているが、海外からの投資導入が次第にアメリカの雇用を促進し、経済回復を推進し、米ドルを再び強くしようとしている。

国内の投資不足の苦境から抜け出すためにアメリカを助けるという喫緊の必要性について、華僑大学数量経済研究院の李拉亜教授は、最近の著述の中で次のように分析している。

アメリカ国内の投資不足の原因は、一つには成熟した新技術も新市場もないので投資家が投資したがらないこと、もう一つは新興市場国家への投資の国内市場への割戻し率が高いので、投資家が積極的に新興市場国家へ投資していることが挙げられる。中国を含む新興市場国家は、貿易の剰余をアメリカに投資しており、このことは、世界経済の不均衡を調整するために新しい手段を提供するだけでなく、アメリカ経済の回復と促進に有益でもある。

中国国際経済交流センター諮問研究部の王軍副部長は次のように指摘している。

「中国は、アメリカの高速鉄道への投資によって、アメリカの一部の劣化し古くなったインフラ(基礎施設)を新しくし、アメリカの雇用人口を拡大することができた。同時に、中国の資金はまたアメリカの債務圧力の軽減にも一役買っている。

アメリカが、その構造上の問題を改善しようと願うなら、財政刺激策を継続的に行うことが重要であり、そのためには、減税とインフラ投資に依存することが大事である」。

中国国際経済技術協力促進会金融投資委員会の孫飛主席は、次のように述べている。

「ハイテク、高付加価値分野および金融市場での対米投資は、非常に大きな市場潜在能力があるので、これは中国企業にとって強い吸引力を持っている。中国は現在、巨額な外貨準備があるにもかかわらず、対米直接投資は依然としてその占有率が非常に低い。それはつまり、中国企業の対米直接投資はやっと幕を開けたばかりだからである」。

中国企業参入の敷居を低くすべき

現在アメリカは、中国からの投資に歓迎の意を示しているにもかかわらず、国内経済の難題を一向に解決しないばかりか、次第に多くなる反助成税と反ダンピング税の徴収というやり方は、その他一部の貿易保護政策にも及んでいる。

このようなやり方は、両国にとって不利益であるばかりか、世界経済の回復にも不利益である。

何茂春主任は次のように指摘する。

「アメリカは、できる限り中国企業に実質的無条件の市場経済待遇を与えるべきだ。さらにアメリカは、できるだけ中国企業に対して、一定程度の投資コンサルティングや情報技術および言語、文字、法律などの方面の説明を提供するべきだ。それは中国企業がアメリカの法律に順応するためである」。

李拉亜教授も次のように提案している。

「アメリカのハイテク技術産業の中国の投資制限に対して、中国政府は、アメリカ政府と双方が利益を得るように交渉して構わない。アメリカの国家安全への疑念に対して、中国はアメリカとの交渉を強化して、アメリカの明確な国家安全の条件というものを要求し、中国企業に規則を守らせ、不必要な摩擦を減少させなければならない」。