原油の対外依存度がアメリカを超える

今年上半期、中国のエネルギー消費は速い速度で増え続け、対外依存度は絶え間なく拡大している。工業・情報化部が先日公表したデータによると、1月~5月、中国の原油の対外依存度は55.2%に達し、既にアメリカを超えている。業界の消息通によると、中国は原油対外依存度の記録を毎年塗り替えてきたが、ここにきて初めてアメリカより数値が高くなった。エネルギー危機が叫ばれる昨今、そのリスクを我々は大いに警戒し、事態に呼応してできるだけ早急な措置を講じるべきであろう。

石油の消費増加速度がGDPの増加速度を超える

工業・情報化部の発表によると、1月~5月、国内の見掛け石油消費量(産出量に実質輸入量を加えたもの)は、1.98億トンに達し、10.3%の増加となっている。その増加速度は、1月~3月に比べると小幅に1.6%下がったが、引き続き急速な増加傾向を維持している。その中で、原油の見掛け消費量は1.91億トンで、8.5%の増加となり、対外依存度は55.2%に達し、もはやアメリカを超えている(アメリカは53.5%)。

工業・情報化部は、今や中国の石油消費速度はGDPの増加速度を超え、エネルギー消費速度も速いため、エネルギー生産、省エネ、排出削減などを推進する上で、極めて大きな圧力となっていると指摘した。

さらに注目すべきことは、中国の原油対外依存度の増加と原油価格の上昇は互いに連動しており、この二者は相互に影響し合い、中国の輸入原油コストを大幅に増加させたことである。

高速度の発展にはエネルギーの支えがなければならない

専門家は、原油の対外依存度が今後も引き続き高くなることは決して意外なことではないとしている。中国の石油ガス産業発展研究センターの劉毅軍副主任は、人民日報海外版記者のインタビューに答えて次のように語った。「中国は1993年から石油の純輸入国となり、しかも需給のバランスの不均衡が持続して増大し、2009年になると対外依存度が50%を上回った。これはシンボル的数字である。見通しでは、今後何年か中国の石油の需要は依然として速い増加を示し、対外依存度の大幅上昇は長期的趨勢であろう。その根本原因は、中国の経済社会が高速度で発展しているので、それを支えるためには莫大なエネルギーが必要だからである。

劉毅軍副主任は、対外依存度は止まることなく上がっているので、不利な影響を警戒する必要があると考えている。もし国外に戦乱が起これば石油の供給が短期間に中断させられてしまうだろう。その価格の振幅は経済社会に比較的大きな影響を与えることになる。

アモイ大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任は次のように指摘する。「発展中の国家として、中国の経済が高速度で発展するとエネルギー消費の増大を招くことは必然である。しかし、対外依存度のスピードはますます速くなっているので、毎年3.5ポイントほど原油価格は高値を付け、中国は非常に強いプレッシャーを受けている。中国の原油の対外依存度がアメリカを超えたのは、アメリカの原油対外依存度が近年連続して減少したことが要因である」と分析している。その主たる原因はシェールガス(頁岩<けつがn>ガス)の採掘にある。アメリカのエネルギー構造が変わったのだ。もともとアメリカは石油発電だったのが、今はほとんどが天然ガス発電になっている。

業界消息通の指摘によると、中国の石油消費の輸入量が大きいことと、一方では中国の全エネルギー構造がひどく不合理であることも原因だ。というのは、大量の石油を消費して熱量の低い石炭を輸送している。そしてまた一方では、中国の全体的システムの配置の不合理により、石油の値段が高騰し、中国の様々な問題が表面化した。

方策を講じてリスクを回避する

対外依存度の上限は60%を超えない方がよい、というのが中国工程院(国務院直属の技術系学術機関。1994年創設)の研究報告である。たとえば低めに見積もっても、中国の石油需要は2030年には6.44億トンに達するだろう、もし抑制しなかったら、2030年前後の中国の石油対外依存度は70%を超えるかもしれないと予測している。中国の人口は多く、アメリカのように消費路線を取ることはできないのだ。

それでは、中国の原油対策依存度がとても高いということは何を意味しているのだろうか。専門家があまねく認めているのは、それが意味するのは中国のエネルギーの安全が大きなリスクを受けているということである。

関係者は、中国の油田の質量はほかの国家とは比べようがなく、その上採掘のコストも比較的高く、それ以外にも技術的にも制限がある。中国にとって、このような高依存度が続くなら、私たちはきちんとこの問題に正面から向き合わねばならない。

どのようにして中国のエネルギーの安全を保障するのか。劉毅軍主任は次のように指摘している。「一つは輸入の多元化を長期的に堅持すること。とりわけ陸地でのエネルギー輸入戦略の道路建設を速めなければならない。二つにはエネルギー備蓄施設および科学的運営制度の建設に力を入れる。三つには国内石油企業が海外のエネルギー投資プロジェクト建設に積極的にかかわることを奨励する。四つには代替エネルギー建設を注意深く推し進め、その上で省エネに努める。この方面の潜在力はとても大きい。最後に、中国の原油と石油産業の製品がリンクした市場の改革を大いに推進しなければならない。この基礎の上に立って、価格の市場化の改革推進に歩を進めなければならない」。

またある専門家は次のように述べている。「一方では石油に代わるエネルギーをできるだけ探すこと、また一方ではエネルギー構成を改編し、システムの効率を高めなければならない。実際、天然ガスは石油の代替品になっているのであるが、この数年、天然ガス市場の過度な利益独占によって、中国は現在天然ガスの備蓄量が多いにもかかわらず、具体的方向が分からず、しかも、不足に応じてどのように技術開発していけばいいのか分かっていないという状況に直面している。それゆえ、根本的に中国のエネルギーの安全を保障するために、必ずや堅固でゆるぎない市場化の道を歩まなければならない。