古屋 範子 公明党副代表・衆議院議員
日中両国の共通の課題に 知恵を出し合うことが重要

本年は「中日平和友好条約」締結から45周年の佳節にあたる。しかし、長引くコロナ禍で人と人との交流が制限され、友好ムードはあまり高まっていない。公明党は日本の政党の中でも、中国との友好路線を貫いてきた政党である。先ごろ、衆議院第二議員会館に公明党副代表の古屋範子衆議院議員を訪ね、青少年交流の重要性、今後の日中関係構築などについて伺った。古屋議員は若い頃から日中友好の重要性を学んできたと話し、日本と中国は共通する重要課題についてともに知恵を出し合うことが大事だと語った。

日中友好の重要性を

若いときから学ぶ

―― 初当選以来、たびたび訪中されていますね。日本の国会議員の中でも中国との関わりが多いと思いますが、なぜ中日友好路線を歩んでいるのですか。また、中国にどのような印象をお持ちですか。

古屋 今年は「日中平和友好条約」45周年で、節目の年に当たっています。この締結の年、私はまだ20代でした。年がばれますけれども(笑)。この頃から、中国から青年交流等で来られた方々をお迎えする場に、たびたび同席をさせていただきました。ですので、日中友好の重要性というのは、20代から学んでまいりました。

歴史上、文化の面など、日本は中国から多くのものを学んできていると思います。2003年に議員になって、公明党の訪中団や日中友好議員連盟の訪中団など、たびたび中国を訪問してまいりました。

北京だけではなく、上海、天津、広州などの大都市、それから河南省など地方都市も数多く訪問させていただきました。中国の大学もいくつか訪問させていただいております。

そうした中で、日中関係というのは、政府間だけではなく、政党間の外交もありますし、青年交流や文化の面での交流、それから民間レベルでの交流、つまり国民同士の交流もあります。こういうさまざまなレベルでの交流が大切だなということを常々考えて、今まで活動してまいりました。

中国の印象については、経済が発展してくる中で、共通するテーマがあると感じています。日本と中国では、女性の活躍とか、少子高齢社会のような共通のテーマを抱えていると思いますので、将来に向けて、お互いに学んでいくところが多いと思います。ですから、これからもそういう実りある対話を続けていくことが重要だと考えています。

 

両国が直面する重要課題に

知恵を出し合っていく

―― 今、お話しされましたが、近年、少子高齢化は日本と中国の共通の課題になっており、日本の医療、介護保険制度などの視察に多くの中国の関係者が来日しています。こうした課題について、どのようにお考えですか。日本と中国で協力できることはありますか。

古屋 厚生労働副大臣の在任中に、多くの中国の高齢社会関連の立場にある方々、中央政府だけでなく、地方政府の方々も日本に来られて、日本の保険医療制度や介護保険制度を視察されています。その時にはいろいろと意見交換もさせていただきました。

2016年11月には、上海で「第9回健康増進国際会合」が開かれました。かなり大きな規模で、会議場の広さにとても驚きました。

私はパネルディスカッションのパネリストとして出席をしたのですが、そこで「高齢社会の健康増進」というテーマで発言をさせていただきました。

日本は現在、世界トップの高齢社会を迎えています。日本は世界に先駆け、すでに超高齢社会に突入しておりますが、その高齢化率が2025年には30%に達すると言われています。

中国においても65歳以上の高齢者の数は2億人を超えており、高齢化率は2021年に14.2%になっていますね。

中国は人口が多いので、高齢者の数そのものは、日本の人口よりも多いということになります。したがって、これから少子高齢社会という共通のテーマは両国のとても重要なテーマになってくると思います。

特に、中国では、沿岸部の少子化が進んでいると聞いております。まさに大都市など発展著しいところほど少子化が進んでしまうという、日本と同じようなプロセスをたどっているのではないでしょうか。

しかし、日本はもうその先を行っていますから、さまざまな課題に対する制度設計も一歩先を行っていると言えます。ですので、そういう日本の制度設計やこれまでの取り組み、そして今、さらに日本が直面している課題を共有して、日本と中国、ひいては世界にとって、高齢社会にはどういう政策が必要なのか、どういう対応が求められているのか、ともに知恵を出し合っていくことが重要なのではないかと感じています。

青年交流を活発に行い

友好を担う人材を育てる

―― 長引くコロナ禍で人と人との交流が制限される中、清華大学副学長の表敬訪問、呉江浩新駐日大使の着任挨拶など、交流を深めています。こうした交流の重要性について、特に青少年交流の重要性について、どのようにお考えですか。

古屋 2018年、山口代表とともに訪中をいたしまして、そのとき、清華大学を訪問し、学生たちとも懇談の場を持つことができました。学生たちから率直な意見ももらいまして、特に青年の政治参加など、そういうことに非常に関心が高くて、貴重な意見交換をすることができました。

私は今、日中友好会館の評議委員も務めておりまして、留学生、寮生もいますし、コロナ前は、実際の青年交流も活発に行ってまいりました。そして、私自身できる限り、そういう交流の場には出席をするようにしてまいりました。

寮生もいろいろな機会に、音楽やダンスなどいろいろなパフォーマンスを見せてくださるんです。大変優秀な方が日本に来ていらっしゃるんですが、頭脳だけではなくて、芸術面でも多彩な才能を持っていらっしゃって、とても微笑ましく、拝見をしてまいりました。

日中友好会館の方も、コロナの間は、実際に行き来をするということができませんので、イベントをやるにしてもオンラインでやるというのが最大の交流になっておりました。

今、コロナも落ちついてきている中で、そういう青年交流も、実際に現地に行って参加する、顔を合わせて会話をする、こういう交流が非常に大事だと思います。

自分の経験から言っても、実際に中国から来ていただいていますので、日本からも中国に行って、青年たちと交流をする。こういう場が非常に重要だと思っております。

あと、日中韓の3カ国で、子ども童話交流を長年続けています。私もそれを推進する議員連盟の1人なんですが、これもコロナ禍でできなくなっております。

この交流イベントは、3カ国の小学生が100人集まって、最初は言葉が通じないんですが、絵本をつくる中で、自然にコミュニケーションが取れるようになり、それぞれ子供たちが集まって力作を発表するという、そういう機会も応援してまいりました。

こうした交流を経験した卒業生の中から、日中韓の友好にかかわる仕事に就いていくような人材も出てきています。ですから、どういう機会にせよ、若いときに交流をしたことが、将来、日中友好を担う重要な人材に育っていくということもありますので、ぜひともこういう青少年交流を活発に行っていきたい、その後押しをしていきたいと思っております。

 

日中関係のパイプを保ち

両国の良好な関係を構築

―― 今年は「中日平和友好条約」締結45周年ですが、友好ムードはあまり高まっていません。今後の中日関係の構築について、どのようにお考えですか。

古屋 とても難しい問題ですが、これまでも両国の友好関係が良好なとき、またそうでないとき、公明党は中国との間で、ずっとパイプを保ってきました。連立与党にあって、公明党は日中関係のパイプをつくっていく、そういう役割を担っていると思います。

先ほども申し上げましたが、政府と政府の関係がどういうときであれ、政党外交として、公明党はとても重要な役割を果たしていると自負しています。

公明党は、歴史的にも日中の友好交流を重要視してきた政党です。そういう中で、私たちは、積極的な平和外交を掲げていますので、政党として、平和外交のために行動していくという理念を持っております。そうした意味では、これからも日中間の良好な関係を構築するために、その役割、責任をしっかり果たしていかなければいけないと考えております。