600km走れるリチウム電池登場
ビッグサイエンス装置が東莞に集結

広東省は新エネルギー自動車の生産・消費が盛んな省であり、今や全国の新エネ車の6台に1台は広東で製造されたものだ。新エネ車産業の勢いある発展には、動力電池をはじめとする新型エネルギー貯蔵産業の支えが欠かせない。

性能が50%向上

コストが30%低下

松山湖材料実験室の黄学傑副室長は、「次世代の電池はエネルギー密度がより高く、コストがより低い。先に開発したところが勝者になる。第3世代リチウム電池のスピネル型ニッケルマンガン酸リチウム電池は、現在の市場で最も主流の第2世代リン酸鉄リチウム電池に比べて、性能が50%向上し、ワットアワー(Wh)あたりのコストが30%低下した」と説明した。

黄氏は、「10年前の新エネ車の航続距離が200キロメートル(km)の第1世代マンガン酸リチウム電池から、第2世代の後続距離400km余りのリン酸鉄リチウム電池、後続距離は600kmに達するがコストが数万元(1元は約19.6円)する三元リチウム電池へ、さらに今では航続距離が650kmに達し、コストが三元リチウム電池よりも低い第3世代リチウム電池がある」と続けた。

 

ビッグサイエンス装置が

東莞に集結

1カ月ほど前、世界的に有名な英国の科学研究調査機関のクラリヴェイト・アナリティックスが発表した最新のデータによると、松山湖材料実験室の「材料科学」がESI論文発表数及び被引用数ランキングで上位1%に初めて入った。これにより同実験室の「材料科学」の研究レベルは世界のハイレベル学科の仲間入りを果たした。

計画の総面積が約90.5平方kmに及び、広州・深セン・香港・澳門(マカオ)・科学技術イノベーション回廊の重要なノードとしての松山湖科学城(所在地・広東省東莞市)では、これまでに世界で4台目、中国で1台目のパルス型核破砕中性子源が建設された。これと同時に、中国核破砕中性子源第2期、南方光源研究試験プラットフォーム、先進的アト秒レーザー施設などの大型装置・大型プラットフォームも同科学城に集結した。

そのうち中国核破砕中性子源第2期、先進的アト秒レーザー施設は国家重要科学技術インフラの第14次五カ年計画に組み込まれている。同科学城の最新の情報によると、核破砕中性子源は今年上半期に工事がスタートし、先進的アト秒レーザー装置は年内に着工する見込みという。

中国科学院物理研究所の情報では、先進的アト秒レーザー施設が完成すれば、アジア初、世界で2番目のアト秒パルスビッグサイエンス装置になると期待される。

松山湖が発表したデータによると、現在、松山湖の傘下の各種マーケットエンティティは約1万5000社に上り、うち1000億元(1兆9600億円)規模の企業が1社、100億元(約1960億円)規模の企業が3社、50億元(約980億円)規模の企業が5社、10億元(約196億円)規模の企業が14社、省レベル以上の「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)」企業が149社、国家ハイテク企業が635社、上場企業および上場準備中の企業が計55社ある。先進的製造業の付加価値額は39.7%を占め、ハイテク製造業の付加価値は86.1%を占めている。