空飛ぶ車が人々の暮らしに入り込むのはいつか

吉利科技集団傘下の沃飛長空科技(成都)有限公司が独自開発した「有人航空機(空飛ぶ車)」の第2回テスト飛行がこのほど終了した。これにより、同社の空飛ぶ車「AE200 X01」シリーズのテスト飛行は新たな段階に進んだ。

外観はプロペラ付の

ヘリコプター

名前は空飛ぶ車とはいえ、AE200は従来の車と同じように道路を走るわけではない上、外観も車とはかなり違っている。「車体」はヘリコプターといくらか似ていて、民用旅客機にあるような翼があり、翼には小さなプロペラが2列計8個取り付けられている。

沃飛長空のマーケティングディレクターの費嵐氏は、「AE200は実際には垂直に離着陸する有人航空機だ。現時点で、中国で最も大型の低空移動航空機で、翼は広げたときの長さが14.5メートル、高さは3.5メートル、全長は9.5メートルあり、コックピットに乗れるのは乗客4人と操縦士1人(の計5人)。機体は複合材料を利用し、動力源はリチウム電池を使う。翼の補助の下、300メートルから1千メートルの低空を時速250キロの速度で200-300キロメートル飛行することができ、都市圏内での都市間の移動に利用できる」と説明した。

また費氏は、「空飛ぶ車の主な機能は将来、都市の交通渋滞を緩和し、スマートで便利な移動方式を提供してくれることだ。ターゲットとなるエリアは主に北京・天津・河北、長江デルタ地域、粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深圳、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市圏)、成都・重慶などの都市圏だ。今後、電動化・量産化された後のAE200の利用料金は目下のハイヤーの2倍から3倍になる見込みだ」と述べた。

 

空飛ぶ車の商用化には

巨額の資金投入が必要

AE200のテスト飛行は現在の空飛ぶ車開発の盛り上がりを映し出すものでもある。ここ数年、開発に乗り出す企業が爆発的に増加し、元々空飛ぶ車を手がけていた企業だけでなく、航空機メーカー、自動車メーカー、ハイテク大手なども競争に参加している。

中国自動車工業情報網が発表した報告によれば、2021年末現在、200を超える企業・機関が約420機種の関連製品を開発中で、業界全体の資金調達額が20億ドル(約2700億円)を超えたという。

空飛ぶ車は開発とテスト飛行のペースがますます速くなっているが、「一般の人々」の暮らしに入り込むには相当な時間がかかる。一方で、空飛ぶ車の商用化は、それまでに巨額の資金投入を意味する。

企業の開発段階での巨額の資金ニーズだけでなく、空飛ぶ車をめぐる「生態圏」構築も巨額の資金を必要とする。これには低空域航空路線のプランニングが含まれ、空飛ぶ車用ステーションの設置や充電・電池交換ステーションの設置といったインフラ整備、さらに空飛ぶ車を中核とした総合的産業チェーンの構築と関連の人材育成も必要だ。

 

安全は確保されるか

他方で、飛行の安全という挑戦がある。空飛ぶ車の今後の利用シーンは主に人口の過密な都市であることを考慮すると、技術を絶えず検証し改良しなくてはならない。