中国の経済規模2300兆円突破は何を意味するか

2022年通年の経済規模が120兆元(約2280兆円:1元19円で換算)を突破し、年間の平均レートで計算すると18兆ドル(約2322兆円:1ドル129円で換算)となり、世界2位をキープした。1人当たりの国内総生産(GDP)は1万2741ドル(約164万円)に達し、2年連続で1万2000ドル(約154万8000円)を上回る水準をキープした。過去1年間、複数の予想外の要因による打撃を繰り返し受けながら、中国のGDPは前年に比べて3%増加した。

 

2280兆円は何を意味するか

規模が120兆元(約2280兆円)の大台を突破したことは、中国の経済運営が全体として安定していたことを映し出している。

国家統計局の康義局長は、「ドイツが発表した通年の経済成長率予測は1.9%で、国際通貨基金(IMF)の予測によれば、米国と日本の2022年GDP成長率は2%以下の見通しだ。中国の3%というGDP成長率は比較的速い成長ペースだ」と述べた。

22年通年で、中国の固定資産投資は57兆元(約1083兆円)を突破し、社会消費財小売総額は44兆元(約836兆円)前後で安定し、物品貿易総額は40兆元(約760兆円)を突破した。

食糧生産量は8年連続で、6億5000万トン以上で安定を保った。都市部の新規雇用者数は1206万人に上り、全国の消費者物価指数(CPI)は2%上昇し、年末の外貨準備残高は3兆1277億ドル(約403兆4733億円)に達して、世界一をキープした。

イノベーション駆動による発展戦略が踏み込んで実施され、新たな原動力の牽引作用が日に日に顕在化した。22年には全国の一定規模以上(年売上高2000万元[約3億8000万円]以上)のハイテク製造業企業の付加価値額が前年比7.4%増加し、一定規模以上の工業企業全体の増加率を3.8ポイント上回った。実物商品のオンライン小売額が社会消費財小売総額に占める割合は、同2.7ポイント上昇の27.2%に達した。

発展の活力がさらにかき立てられ、22年末時点で全国において登録されたマーケットエンティティは1億6900万に達し、そのうち自営業者は1億1400万だった。

フランス通信社(AFP)は1月17日、22年全体の中国経済について「発表されたデータは予想よりも良いものだった」と評価した。

 

23年の中国経済の見通し

華泰資産管理有限公司のチーフエコノミストで、中国チーフエコノミストフォーラムの理事を務める王軍氏は、「新型コロナウイルス感染症が中国経済にもたらした短期的な影響からさらに立ち直るには時間がかかる。そのために必要なのは、引き続き経済の基盤を安定させることだ」と述べた。

王氏は、「中国は今、企業と消費者の信頼感を高めるために、できるだけ速く経済成長を潜在的な成長率のレベルまで回復させなければならない。もしも中国がこれからも経済の基盤を安定させ続け、社会全体が活気に満ち、志を一つにして勢いよく前進し、事業を展開していけば、回復後の中国経済の見通しはより期待できるものになると確信する」との見方を示した。

中国人民大学中国資本市場研究院の趙錫軍連席院長の予測によれば、今後、消費と小売を含む各種指標は全体として安定に向かい、変動性は22年に比べてかなり低下する。23年に内需を拡大させるために切り口となるポイントは、社会の心理的期待を改善することと発展への確信を高めることだという。

中国銀行の宗良首席研究員は、「中国は経済成長と感染症対策を協調させる問題を比較的適切に解決し、このことが2023年の経済成長のための良好な基礎を築いた。私たちは23年の経済成長は今後底を打って回復し始め、第1四半期(1-3月)には上昇し、第2四半期(4-6月)と第3四半期(7-9月)には急速な発展期に入ると見ている」と述べた。

 

今後中国経済はどうなるか

中国民生銀行の温彬チーフエコノミストは、「安定成長が2023年の中国経済政策の一番目の重要任務になるだろう。今年は中国経済の各種主要指標が、大幅に、全面的に、プラスの方向に改善され、経済規模は新たな段階に突入し、マクロ政策の効果と発展の質が安定的に上昇する見込みだ。中国経済回復のカギは、引き続き社会の有効需要の拡大に全力を注ぐこと、とりわけ国内需要を積極的に拡大することにある」と述べた。

内需を拡大するには、消費の回復ペースを加速させられるかどうかが重要なポイントになる。中国国際貿易促進委員会研究院の趙萍副院長は、「中国で新型コロナ対策に関する政策が最適化され、生産活動の再開が推進されるのにともなって、新型コロナが商業やサービス業に大きな影響を与える時期はすでに過去のものになり、今後は景気レベルの回復・上昇が必然的な流れになる。月次データの変化を見ると、中国の消費はすでにターニングポイントを迎えており、これから上昇軌道に乗る見込みだ」と述べた。

米ジョーンズ・ラング・ラサール中華圏の龐溟チーフエコノミストは視点を世界に広げ、「最近の経済データを見ると、中国以外の世界の主要経済国は回復ペースが鈍化し、金融政策と財政政策がさらに引き締められ、グローバル貿易の低下とグローバル経済の衰退の確率が高まっている。その一方で、中国経済は引き続き回復・好転する流れが変わらず、長期的発展に向かうポジティブな要因にも変化がなく、さまざまな面の成長原動力の牽引効果が存分に発揮され、世界経済の安定・回復に力強い下支えを提供し、各国に市場でのより大きなチャンスをもたらすことになるだろう」と述べた。