カタールW杯の至るところに見られる「中国的要素」

FIFAワールドカップ・カタール2022(カタールW杯)は熱気に包まれる中、グループリーグの試合が行なわれている。今回は中国代表が出場していないにもかかわらず、W杯の至るところに「中国的要素」が見られる。

 

中国が建設したメイン会場

北京時間の11月22日夜、W杯グループリーグC組の試合が始まった。中国企業が建設を請け負い、9万2000人収容可能なメイン・スタジアムの「ルサイル・スタジアム」も、こうしてW杯で披露された。

その形状から「大きな金のお椀」と呼ばれる同スタジアムは、カタールの首都ドーハの中心部から北に15キロメートルの場所にある。今回のW杯のメイン会場そして最も規模が大きい会場として、金色の優勝トロフィーが高々と掲げられる歴史的瞬間を見届けることになる。

2016年、中国鉄建国際集団は同スタジアムの建設プロジェクトの競争入札で落札した。中国企業が初めて設計、調達、建設を含むEPC契約を結んだW杯会場建設工事請負のプロジェクトであり、中国企業が海外で建設を請け負った最大規模かつ技術的に最も先進的なサッカー競技場でもある。

カタール中央銀行が発行したW杯特別記念紙幣のうち、22カタール・リヤル(約838円)の紙幣にこのスタジアムがデザインされている。

 

中国の審判員が

ピッチに登場

グループリーグB組の初戦となった米国対ウェールズの試合に、中国の審判員の馬寧さんが第4審判としてピッチに登場した。W杯の試合に中国の審判員が登場して試合の審判をするのは実に20年ぶりのことだ。

今年5月、FIFA(国際サッカー連盟)はカタールW杯の担当審判団を発表した。中国からは馬寧さん、施翔さん、曹奕さんの3人が主審及び副審として選ばれた。

W杯の競技会場の外では、世界各国のサッカーファンが関連グッズを爆買いし、ここでもメイド・イン・チャイナをたくさん目にすることができる。

W杯公式試合球からマスコット「ライーブ」の各種グッズまで……中国の日用品取引の中心地である浙江省義烏市の義烏スポーツ用品協会の推算では、W杯関連グッズの市場シェアのうち「メイド・イン・義烏」が70%を占めるという。

一方で、杭州税関に所属する義烏税関のまとめた統計では、今年1-10月に義烏から輸出されたスポーツ用品の価格は48億5000万元(約970億円)で、そのうちブラジルへの輸出が前年同期比38.8%増の1億5000万元(約30億円)に達したという。

同じように人気が高いのはジャイアント・パンダで、W杯開幕直前、中国からカタールへ渡ったパンダの「京京(ジンジン)」と「四海(スーハイ)」がドーハで正式に一般公開された。

 

車両も電力も中国が保障

カタールW杯開催期間中、数多くの大型バスが会場やホテルなど各スポット間を縦横に走り回り、サッカーファン、FIFAの担当者、メディア関係者らを運ぶ任務を担う。そのうち中国製の新エネルギーバスが中心となっている。

W杯の輸送ニーズに対応するため、カタールは中国からバス1500台を輸入し、その中にはバッテリー電気自動車(BEV)のバス888台も含まれている。

国際的な大規模スポーツイベントで中国製の新エネバスが大量に導入された初めてのケースであり、BEVバスが主要な交通手段としてW杯にサービスを提供する初めてのケースでもある。

W杯閉幕後も、これらのBEVバスはカタールの公共交通を構成する重要な要素として引き続き稼働することになっている。

カタールの首都ドーハの西80キロの砂漠の中に、サッカーコート約1400面分の面積の巨大な太陽光発電所「アル・カルサ太陽光発電所」がある。中国電力建設集団有限公司傘下の中国電建集団貴州工程有限公司が建設を請け負ったもので、敷地内にはソーラーパネルが200万枚以上設置され、カタールに毎年約18億kWhのクリーン電力を提供することが可能だ。