中国初の48Kラージトウ炭素繊維生産ラインが稼働開始

中国初の1万トン級48Kラージトウ炭素繊維の1セット目となる国産生産ラインがこのほど、合格品を生産した。これは中国のラージトウ炭素繊維が重要技術のブレイクスルー、工業試験生産、産業化の段階から量産化に向かったことを示している。人民網が伝えた。

炭素繊維業界内では、1束の炭素繊維の本数が4万8000フィラメント(48Kと略称)を超えるものがラージトウ炭素繊維と呼ばれる。ラージトウ炭素繊維は「新材料の王」「黒い金」と呼ばれ、風力、太陽光、高速列車、航空機部品などの業界に応用される。

今回生産が始まったラージトウ炭素繊維は、炭素原子の含有量が95%以上の高強度新型繊維材料で、その力学的性能が優れており、比重は鋼の4分の1にも満たないが、強度はその7−9倍にのぼる上、耐腐食性を持つ。さらに48Kラージトウ炭素繊維の優位性は、同じ生産条件であっても炭素繊維の1本当たりの生産能力と品質・性能を大幅に引き上げられ、低コストの生産を実現し、炭素繊維の高価格による応用の限界を打破できることだ。

業界関係者によると、炭素繊維技術には厳しい技術的障壁がある。長期間にわたり、中国の炭素繊維の発展は主にスモールトウ炭素繊維の面でブレイクスルーを遂げたが、スモールトウ炭素繊維はコストが高いため、川下企業の炭素繊維応用の積極性に影響を与えていた。

中国石化上海石油化工股份有限公司(上海石化)の黄翔宇副社長は、「当社は10数の大学、科学研究院(所)、企業と提携し、十数年の努力を経て設備から製法に至り、ラージトウ専用の生産ラインを開発し、炭素繊維の12Kから48Kへのブレイクスルーを達成した。上海石化炭素繊維産業拠点は2024年の完成と稼働開始を予定している。年間2万4000トンのプロトフィラメント、年間1万2000トンのラージトウ炭素繊維の生産能力を達成し、国の各分野の需要を満たす」と述べた。