コロナ禍で変化加速 日本の旅館・ホテル、顧客の個人化一層進む

高齢層の旅行控えも

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)のポストコロナ調査研究委員会(大木正治委員長)は、全国47都道府県旅館ホテル組合から、それぞれ1~3軒の組合員旅館・ホテルをモニターとし、各地の経営状況をヒアリングする「地域ボイス制度」をこのほど創設。その第1回ヒアリングを7月11~19日に行った(8月1日付既報)。ここではモニターへの質問の一つ「ポストコロナ期(現在)において、従前(新型コロナ禍前の2019年以前)と比べて変化を感じること」について主な回答を取り上げる。顧客の団体から個人へのシフトが一層進むほか、1室当たりの宿泊人員の減少、高齢者層の旅行控えなど、多くの旅館が変化を指摘している。

旅行の個人化、団体旅行減少の動きは以前から顕著だが、コロナ禍でさらに加速した形だ。ある旅館は「団体客が消滅して個人客のみとなった。私どもは団体客が主な顧客であったため、売り上げが激減した。館内を個人客向けに変えていく対応に追われた」と自館の状況を説明。「個人客も県民割等の需要喚起策があったため、比較的宿泊単価が好調に推移したが、そういった支援がなくなった場合、大変不安である」と今後を危惧する。

別の旅館も「当社は典型的な地方温泉地の団体受け入れ型の旅館としてコロナ前まで運営してきた。団体客を送客する旅行会社との付き合いも長く続いてきたが、コロナを経験して市場も大きく変化したことを実感する。これまでのように団体旅行が元に戻ることは、ポストコロナ期には少なくとも当社に関しては想定できないため、個人型への受け入れ強化を進めていくところ」と、今後を見据える。

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【記事提供:観光経済新聞