大江 洋平 大江洋平法律事務所弁護士
日中企業をサポートし、日中友好に寄与したい


北京の人民日報本社にて(左は人民日報海外版の劉曼軍副編集長、2015.3.25)

中国案件の専門家として、テレビに出演したり、マスコミに取り上げられる機会も増えているという大江洋平弁護士は、「この分野において、誰にも負けない自信があります」と語る。大江洋平法律事務所の“強み”は何なのか――。

―― どのような業務を取り扱っていますか。

大江 クライアントは個人から法人まで実に幅広いですね。日本人・日本企業からのご依頼のみならず、中国人・中国企業からのご依頼も非常に多いのが特色です。

ご依頼の内容もバリエーションに富み、個人であれば、刑事事件、離婚や相続問題、交通事故や債権回収、労働紛争など。法人であれば、企業法務全般、人事労務・取引関係・経営権に関する紛争、顧客対応、事業承継や企業再建、倒産案件など様々です。

その中でも、最も多いのが、中国に関連する業務です。日本企業からのご依頼であれば、「中国に支社・事務所をつくりたい」「中国に工場を建てたい・店舗を出したい」「中国の会社と合併したい」といった中国進出に関するご相談が多いですね。また、中国進出に関するご依頼以外にも、「中国企業との取引におけるトラブルを何とかして欲しい」「中国人従業員との労働トラブルを解決して欲しい」など実に多種多様なご依頼を頂いております。

―― 中国に関連する業務を扱うようになったきっかけは。

大江 あるきっかけから、中国人の方や中国企業からのご依頼をよく受けるようになりました。そうして中国案件に関する知識とノウハウを身につけていきました。今は、この分野において、誰にも負けない自信があります。

―― 貴事務所の強みは何ですか。

大江 中国の弁護士・企業経営者・著名人などと強固な繋がりをもち、こうした人脈を駆使して事件解決にあたるのが、当事務所の大きな強みです。中国全土にネットワークを持っていますので、中国のどの地域においても地元の弁護士たちと連携して、あらゆる案件を処理することができます。

―― 中国企業についてどのような印象をお持ちですか。


北京の「海外網」収録スタジオにて(2015.3.25)

大江 中国の好景気や市場開放を背景に、非常に活発ですね。当事務所に関しても、日本企業よりも中国企業からのご相談・ご依頼の方が多いくらいです。

ここ数年、中国各地で、日本への進出を検討している中国企業向けに、日本で会社を設立する手続きなどをテーマにしたセミナーを開き、そこで講師を担当させて頂いているのですが、毎回、多くの方がセミナーにいらっしゃり、文字通り超満員の状況が続いています。

そして、日本での法人設立手続き、就業規則の作成等を当事務所が担当し、日本への進出を果たした後は、そのまま当該企業の法律顧問を務めるケースも多くあります。

―― 日本企業が中国に進出する際に気を付けるべきことは何ですか。

大江 2014年、中国では、不正競争防止法及び独占禁止法に関連する中国政府の取り締まり活動が非常に活発化し、行政処分が下される案件が多く見られました。そのため、日本企業が中国に進出する際には、不正競争防止法や独占禁止法分野における中国政府の取り締まりの現状を確認することが極めて重要ですね。特に、商業賄賂、商業詐欺、模倣品・偽物が取り締り重点分野とされておりますので、日本企業も十分留意する必要があります。

―― 中国に進出した日本企業が現在直面している問題はどのような点ですか。

大江 現在、中国では、人件費が急騰しており、中国に進出した日本企業が、中国から撤退し、他の新興国に拠点を移す事例が多く見られます。しかし、撤退をする際には、従業員の解雇などを伴うことから、進出時以上にトラブルが生じやすく、多大な労力がかかるのが実態です。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が2014年に行ったアンケートでは、中国事業の縮小や他地域への移転を検討している日本企業は7.5%で、3年前の調査から3.1ポイント増えました。その理由としては、人件費上昇などのコスト増加が最も多く挙げられています。製造業が多い広州市が今年になって最低賃金の約2割引き上げを決めるなどしていることに照らしても、撤退を検討する日本企業は今後も増えると思われます。

一度トラブルを起こすと、築き上げた信用に傷がつきかねません。撤退時にも適切に対応することが必要なのです。

―― 中国進出を検討している日本企業に伝えたいことは何ですか。

大江 上述の通り、中国では、不正競争防止法や独占禁止法違反取締りを強化することによって、さらなる市場開放を実現するという政策がとられています。中国市場がさらに開放され、公平な競争が確保されれば、元来法令遵守の意識が高く、高い技術と商品力を有する日本企業は、中国において有利な立場に立つことができると思われます。コンプライアンス意識を高めた上で、当該企業の特徴を踏まえて早めのリスク防止策を講じれば、日本企業は中国市場において大きな成果を得ることができるでしょう。

―― 今後の目標は。

大江 最近は、中国案件の専門家として、テレビに出演したり、マスコミに取り上げられる機会も増えました。今後もますます研鑽をつみ、法律家の立場から日中企業をサポートし、日中間でのビジネスの発展や日中友好に寄与していきたいと考えています。