ネットベンチャー研究報告発表
1000万人超の雇用生むネットショップ

ネットショップ開業は就職に数えられるのか。また、それはどれくらいの雇用を生み出すのか。2月4日、中国人力資源社会保障部が初めてネットベンチャーの雇用促進について研究した報告を発表した。報告は、中国のネットベンチャーがすでに1000万人を超える職場を生み出し、雇用圧力の一部を緩和しているとともに、起業と雇用の新たな成長ポイントになっていると指摘している。

 


2011年、北方民族大学は学生寮の「四兄弟」の湯明、譚龍超、陳哲、馬楠(左から右へ)
と共同でネットショップを登録し、地元の特産品を専門に販売している。
現在、ショップの販売額はすでに百万元(約1500万円)に達している(撮影/新華社、王鵬)

若者が起業、雇用の主力に

中国人力資源社会保障部の関係司局と中国雇用促進会の8カ月以上に及ぶ調査研究の結果は、現在インターネットビジネスに関わる雇用は主に中部、東部地区と地級市(省クラスの行政単位と県クラスの行政単位の中間にある地区クラスの行政単位)レベル以上の都市の知識集約型、労働集約型および技術集約型企業に集中しており、それぞれ、サンプル総数の57.4%と85%を占めており、ネットベンチャー、雇用の「革新」性が明らかなことを示している。

申請手続きとしては、売り手がタオパオの口座などのユーザー登録をする手順を踏みさえすれば数時間の内に無料で開店することができる。資金調達の面では、中国工商銀行佛山支店のネットビジネス零細企業向けローン『易融通』やアリババの阿里金融ローンに代表される金融面での革新的商品が登場している。物流チャネルについては、すでに物流、商流、情報の流れが有機的に結びついた物流配送システムが社会的に確立している。生産、経営のチェーンではすでにフロントエンド、大型プラットフォームと豊富なバリエーションを持つ「信用、支払、物流」イーコマース生産・経営チェーンが形成されている。

報告では若者が絶対的な主力となっており、男性が多数で76.6%を占めていることを示している。学歴面では高校卒、専門学校卒、中等専門学校卒が33.4%で、短大卒が29.2%、大学本科卒が19.7%を占めている。

 

柔軟性、公正、拡がり、自律

報告は、ネットベンチャーの雇用には4つの明らかな特徴があるとしている。

1つ目はその柔軟性で、雇用方式が柔軟であり、雇用の弾力性が大きく、ハードルが低いことと、起業コストが少なくて済み、分野も広く、都市や農村といった地域的な制約を受けないこと。

2つ目は公平性だ。青年、女性、障害者などの弱者層でも起業することができ、働けること。

3つ目は派生性だ。ネット販売、顧客サービス、アートエンジニアなどの職業と連動し、ソフト、物流、支払などのネットビジネスサービスに関する職場を新たに生み出して、その他の生産や加工、包装などの業界の急速な発展をもたらす。

4つ目は自律性だ。つまりネットビジネスは自己規制と自己完結を行い、各種のコラボレーターが自分たちでネット規則を決め、ネットユーザーが参加する評価と結びついたメカニズムがすでに確立され始めている。

研究報告が特に打ち出しているのは、中国社会に深刻な商業倫理の危機が生まれている現在の状況下で、ネット経済はその発展の中で新たな社会的信用のプラットフォームを作り出している点だ。タオパオだけでも毎日1800万件の取引が行われていて、これはつまり、少なくとも3600万人の互いに見ず知らずの、会ったこともない人たちが強い信頼に基づいて契約で保障された取引を行っているということだ。

 

4つのハードルがネットベンチャーを制約

報告はネットベンチャー、雇用の成功を肯定すると同時に、その直面している問題も指摘している。

第1は公平な起業環境が欠如しており、ネットビジネスの起業に関する統一的な規範が未だ確立しておらず、なかには見掛け倒しの詐欺まがいや偽物を混ぜたりする現象も個別には見られること。

第2は認証手続きが煩雑で、かつ認証情報が滞ること。

第3は公共サービスが欠如しており、まだ社会保障体系とは全面的な整合性を持っていないこと。

第4は起業スキルが欠如しており、現状のイーコマース向けの教育訓練が起業のニーズとかけ離れていて、全体的な運営管理能力の弱さを招いており、営業販売拡大能力も総じて高くないこと。

第5は政策による全体的な支援、特に資金の欠乏や税収面での優遇政策、開業場所に対するサポートが欠如していることだ。

 

政策面の優遇が雇用を促進

報告は、ネットベンチャー、雇用の発展を推進する政策提案を打ち出している。

1つは現行の積極的な雇用政策を実体経済の起業支援政策と合わせて、ネットビジネスでの起業、雇用にも適用することだ。事業範囲を緩和することも含め、自宅や、貸事務所、臨時の商業ビルなどの場所で起業することを認めること。融資のチャネルを広げ、条件を満たしたネットビジネス起業家に対して少額の担保ローンを提供し、税制面での優遇と社会保険料補助を適用して、科学技術の成果の転用あるいは文化の創造的なプロジェクトに対して起業資金補助あるいは金利の優遇を行うこと。

2つ目はネットビジネスの起業を農村地区、発展の遅れた地区へ拡大することの促進だ。