10兆円規模の都市交通計画を発表

中国国家発展改革委員会は先日、最近承認された24項目の都市軌道交通敷設計画を発表した。総投資規模は8000億元(約9兆8300億円)を超える見込みである。

18市と2つの都市郡に恩恵

中国国家発展改革委員会が発表したのは承認の時期が2012年の4月から8月にかけてのもので、18市と2つの都市群に及んでいる。承認されたのは蘇州、杭州、成都、青島、深?、広州、寧波、天津、西安、長春、石家荘、太原、蘭州、上海、ハルピン、瀋陽、アモイ、常州の18都市の軌道交通敷設と内蒙古呼包顎地区と江蘇省沿海都市群の2つの都市間鉄道計画だ。都市間鉄道計画の内、前者にはフホホト、パオトウ、オルドスの3市が含まれ、後者には南京、鎮江、常州、無錫、蘇州、楊州、泰州、南通の8市が含まれる。

10兆円が人々の暮らしと経済成長の扉をこじ開ける

この10兆円規模の投資をどう見るのか。

同委員会総合運輸研究所の郭小碚所長は「この8000億元について、私たちは冷静に見なければなりません」として次のように述べている。「国が都市の軌道交通敷設に投資するのは、都市交通を改善し、人々の暮らしに恩恵を与える当然の行為ですが、この10兆円という数字だけを取り上げて判断することは出来ません。都市の軌道交通敷設プロジェクトには普通何年もの時間が必要です。今回は計画が承認されただけであって、すぐに投資が行われる訳ではありません。さらに下半期の都市軌道交通敷設への投資がどうなるのか、今の時点では分かりません。ですから、現時点ではこの10兆円規模の投資効果を正しく評価するのは不可能です」。

清華大学経済管理学部の周立教授は次のように語っている。「今回の投資は価値あるものです。意義深く、民生と経済成長の両方を考慮したものだと言えます。国がインフラに対して投資を行う場合は、投資の対象を選別すべきであるという一面が確かにあります。しかし、都市軌道交通に対する投資は効率が良く、投資のテコ入れ効果も明確で、関連する川下企業の発展も促し、安定成長に対する効果もはっきりしています。別の面では、都市の膨張で都市軌道交通の敷設ニーズは切迫していますから、今回の投資は現実的で、人々の暮らしに密接に関連したものと言ってよいでしょう」。

ただし、都市の軌道交通敷設は地方政府の財政状況に応じて行われるべきであり、投資衝動とそれによってもたらされる今後の経済過熱と構造問題を防ぐべきだと提起する経済学者もいる。

都市間交通のボトルネック解消の期待

今回発表された都市軌道交通計画では成都の地下鉄3号線が今年4月に承認されており、早期に承認されたプロジェクトであるため既に計画がリリースされている。地下鉄3号線が完成すると、成都市にどんなメリットをもたらすのだろうか。

成都地下鉄サイト上の『成都地下鉄3号線一期工事環境影響報告書(簡略版)』によると、3号線は1、2、4号線とともに「米」の字を描く形で敷設される成都市の軌道交通の主要幹線だ。3号線の工事、敷設と使用開始により、自動車の排気ガス汚染と騒音問題は明らかに減少し、生態環境をいっそう改善することができる。また市街中心部の配置の合理化を推進し、市内中心部や主要な市街地域にある工業企業の郊外への移転による都市の永久的な緑地確保にも有利な条件を提供することになる。

また、内蒙古発展改革委員会産業協調処の張広収処長は「フホホト、パオトウとオルドス3市の間には密な交通網がないため、呼包顎都市群の発展を制約する要因となっている。今回内蒙古呼包顎都市間鉄道が承認されたことで、3市の交通のボトルネックを解決できる見込みだ。発展改革委員会が提供した計画案では、3都市間の既存の鉄道を十分に活用しつつ都市間列車を運行するという基盤に立って、新たにパオトウからオルドスまでの、延長距離約162キロの都市間鉄道を敷設する。2012年から2015年までにまずパオトウ-オルドス線の東勝からオルドス空港間の延長約52キロを敷設し、将来的にさらにフホホトからパオトウ、フホホトからオルドスまでの都市間鉄道を敷設する」と語っている。