中国大学生の消費概念に変化

大学生の頃、あなたの生活費はいくらだったか。親からの仕送りか、自分で稼いでいたか。学生時代には、どんなものを手に入れると暮らしの質が上がったと感じたり、幸せな気持ちになったりしたか。こうした質問を通して、90後(1990年代生まれ)と00後(2000年代生まれ)の消費概念の違いを探ってみた。

 
北京大学の新入生

生活費はどんどん値上がり

90後でも00後でも、大学の学費と寮費はほとんど変わらない。

90年生まれの木木さんと00年生まれの宋さんは北京の同じ大学の先輩後輩だ。入学年に10年の開きがあり、大学の教員やキャンパスの設備施設は大きく変化したが、学費はほぼそのままだ。

木木さんは、「2008年に入学した当時の学費は年間4300元(約7万円)、寮費は1200元(約2万円)で、寮費は当時、他の大学に比べて高めだった。部屋にトイレとベランダがついていたからだ」と振り返った。

2018年に00年生まれの宋さんが入学した時には、学費は5000元(約8万1500円)と少し値上がりしていたものの、寮費は900元(約1万4670円)に下がっていた。宋さんは、「部屋にはトイレがないけれど、建物に共用のお風呂ときれいで清潔なトイレがある。クリーンキーパーのおばさんがきれいにしてくれるので、とても快適」と話した。

学費と寮費に10年間で大きな変化はないが、物価水準の上昇により、生活費はほぼ倍増した。

木木さんは、「1年と2年の頃の生活費は毎月800元(約1万3040円)、3年と4年の頃は1000元(約1万6300円)だった。両親からの仕送りで、毎月少しずつ貯金していた」という。

宋さんは、「今はとりあえず両親から毎月1500元(約2万4450円)の生活費をもらっているが、何もしないわけにはいかない。できるだけ早く自立して、親に負担をかけたくない」という。

 

電子製品と化粧品は品質重視

一部の男子学生にとっては、食事はしなくてもいいもの、服は買わなくてもいいものだが、電子製品はハイスペックなものでなければならない。また女子学生にとって、コスメとスキンケアの化粧品は不可欠だ。だがこの10年間に、大学生が実際に選ぶ商品は非常に大きく変化した。

「自分の場合、1学期間に服が2セットしかなくても、パソコンは最高のスペックにしたい」。

01年生まれの男子学生辰さんは、寧波(ニンポー)の中外合弁の大学に通う。学生生活で必要なものについての話になると、「服は2セットでいいが、パソコンやヘッドフォンなどの電子製品、ひざのサポーターなどのスポーツ用品は、一通りそろっていなければダメ」ときっぱり述べた。

女子学生はどうか。大学に入ると、化粧品の出費が上昇を続ける。

00年生まれの女子学生の場合、「今使っているスキンケア製品は欧米ブランドからアジアブランドまで幅が広く、キールズ、イヴサンローラン、ドクターシーラボ、無印良品、ジバンシーなどを使っている。平均的な価格は200元(約3260円)以上するものばかり」という。

10年前に大学生だった木木さんの場合、「新しいノートパソコンを所有することは、ものすごくうれしいことだった。学生時代、寮の同級生が使っていたのは中古のノートパソコンばかりで、携帯電話を買い替える人もほとんどいなかった。生活費も切り詰めていた。使っていたスキンケア製品のブランドは覚えていないが、確か国産で、100元(約1630円)でフルラインがそろい、実用的だった」という。

 

仕送りか自分で稼ぐか

00後の大学生は、個人の生活の質を特に重視し、生活費もゆとりがある。個人の消費額は90後よりも多いが、自立志向が強く、資産運用の意識もこれ以前の学生を大きく上回る。

90年生まれの木木さんも周りの学生と同様、学生時代には資産運用について特別な考えはなく、貯金は親からもらった生活費の一部をやりくりして捻出したものだった。

木木さんは、「大学4年で約1万元(約16万3000円)を貯めた。今考えると大したことはないが、当時は『一万元長者』は同級生の羨望の的だった。4年生の時には、実習でもらった手当のほか、収入はゼロだった。周りの同級生たちに資産運用という概念はなく、みんな生活費を節約して、とにかく安いものを食べ、外食はめったにしなかった。当時は資産運用というものをまったくわかっていなかったので、1万元は銀行に預けっぱなしだった」と振り返った。

00後の多くが、経済的に早く自立することを、学生時代の目標の一つに掲げる。

00後の宋さんは、「学生時代にはお金を稼ぐことがいつも目標になる」と述べた。

宋さんは、「小さい頃から伝統楽器の古筝を習っていて、先生から演奏する機会を紹介してもらえる時があり、1回の演奏で300元(約4890円)から500元(約8150円)のギャラがもらえる。携帯電話でECの副業もやっているので、大体一日に100元(約1630円)ほど稼いでいる」という。

経済的に早く自立したい。これが多くの大学に入ろうとしている00後学生の考え方だ。10年前に比べて、考え方は大きく進歩したといえる。「お金は稼ぐもので、もらうものではない」というのが00後の資産運用の概念であり、一日も早く自立して親に負担をかけないことを目指している。