訪日中国人のショッピング傾向の変化

最近、訪日中国人の人数が急速に増えている。元旦に日本を訪れる中国人が多いのは、各売り場で新年の福袋を購入するためだ。新年の始まりに、昨年1年間の中国人の日本旅行を振り返ってみると、注目すべき2つの点が浮かび上がる。1つは、昨年1月から11月に日本を訪れた中国人観光客が前年同期比82.2%増の約222万人に達したこと。もう1つは、大幅な円安と新たな免税政策により、訪日中国人にショッピングの絶好の機会が訪れたことだ。日本の主な都市では、大量の買い物袋を提げた中国人客の姿が至る所で見られた。数百万円の腕時計・装飾品から、100円の皮むき器に至るまで、金に糸目をつけずに買い込む中国人は、日本のメディアや国民を驚かせた。

2000年に中国人の団体観光客が初めて日本を訪問して以来、長年にわたり、中国人観光客の人気商品と言えば、デジタルカメラ、腕時計、ブランドバッグの3種類だった。しかし、個人旅行の割合が高まるに従い、ショッピングの場所は免税専門店から日本人もよく訪れるショッピングモールへと移り変わり、伝統的ないくつかの商品に集中していた人気商品も、今では生活用品にまで拡大しつつある。日本観光庁は昨年10月、新たな免税制度を打ち出し、これまで対象外だった食品・飲料、化粧品、薬品などの消耗品が新たに免税の対象となった。これにより、日常生活用品の購入熱が大いに高まった。では昨年、中国人観光客は伝統的な人気を誇る電化製品や高級品の他に、どんな物を日本で購入したのか。ショッピング傾向にはどのような変化があったのだろうか。

 
福岡に訪れている中国人観光客

現地の人々と同化しつつある

日本では、通常1月2日から、早いところは1月1日から初売りが始まり、各デパートは福袋を売り出す。安くて良いものが買えるため、また縁起を担ぐため、朝早く起きて福袋の列に並ぶことが日本の新年の恒例行事となった。近年、その列に中国人観光客も加わるようになり、新年の日本旅行の重要な目的となっている。ネットには詳しい福袋攻略法が書かれ、日本の各売り場も中国語の説明書きを増やして対応している。消費の動向が現地の人々と同化しつつあることは、中国人観光客のショッピング傾向の1つ目の変化と言えるだろう。

ますます多くの中国人女性が、日本人女性と同じ化粧品を購入するようになっている。ブランドコスメばかりを追い求めるのではなく、ノンアルコール、無防腐剤、無鉱物油、純天然成分の商品を選ぶようになっているのだ。

2014年、酵素ダイエットは日本で大ブームとなり、中国のホワイトカラーの女性たちも競って関連商品を購入した。多くの中国人は日本旅行に出かける際、日本ではどの酵素の売行きがよいかをチェックし、友人や親戚のために購入している。

 

消費概念の個性化

2つ目の変化は、消費概念の個性化だ。ある中国人はイッセイミヤケの服を買うために列に並び、ある中国人は、中国では販売されていない、100%「メイド・イン・ジャパン」の小物だけを購入し、ある中国人は代官山の路地裏で雑貨を物色するなど、それぞれのニーズに合ったニッチで個性的な商品を追求している。

日本の美容家電類で売上トップの美顔器「プラチナホワイトRF」と、新製品の美容器「RFボーテ キャビスパ」は日本の女性の間でかなりの知名度を誇る。独特の技術と高い品質、小さくて便利なデザインと高いコストパフォーマンスが受け、2014年の中国人観光客の人気商品となった。

 
消費力の強い中国人観光客は、日本各地で歓迎されている

ショッピングの多様化と現地化

3つ目の変化は、ショッピングの多様化と現地化だ。銀座三越の地下食品街でケーキやフルーツを買い、ホテルに戻って食べる。築地市場でいくつかの乾物を買い、日本人が普段食べている味を体験する――。スマホが普及した今、中日の情報格差は縮まっており、1つの場所をより深く楽しむタイプの旅行に、無限の可能性が広がった。ショッピングの多様化・分散化のすう勢は、今後も発展を見せる可能性がある。

鉄瓶や陶磁器のような純和風の商品を好む中国人客もますます増えている。

日本旅行が中国人の海外旅行の「新常態(ニューノーマル)」となった今、上述の数々の現象から、ショッピング形態にプラスの変化が起こっていることがわかる。中国人客がブランド店の品物を片っ端から購入していくイメージは変わりつつあり、「天然」、「健康」、「ハイテク」、「日本製」などが2014年の日本旅行ショッピングのキーワードになった。就航便数や観光ルートの増加に伴い、2015年の中国人日本旅行は新たな高みへ到達することだろう。今年はどのような変化とすう勢が見られるのか、期待したい。