マイクロ・マーケティングが観光商戦の一大潮流に

観光商戦においては、風景、文化、行事、レクレーション、エンターテイメントなどによって消費者を引き寄せるのが主な手法であるが、新たなマーケティングが観光商品の宣伝・普及に一役買っている。

 

 

ラインを活用してキャンペーンを展開

マイクロ・マーケティング(消費者の個性に着目して、セグメント〈同様の属性を持つ顧客層〉をより細分化したマーケティング)時代の到来で、観光地やテーマパークは食・住・交通・観光・ショッピング・エンターテイメントのオンライン予約だけでなく、ミニブログやラインを利用したプラットフォームを相次ぎ開設し、消費者に向けて独自の情報を配信している。

多くの観光地が、ミニブログやラインでリアルタイムに観光地の情報を更新し、アクセスガイド、ツアーガイド、ショッピングガイドの役割を十二分に果たしている。また、ラインで「驚きと喜び発見」キャンペーンを展開するなど、オンラインとオフラインの両輪でマイクロ・マーケティングを行い、低コスト・ハイリターンの効果を得ている。

 

冒険的マーケティングイベントで注目を集める

観光地・張家界のマーケティングチームは、大胆な発想でこれまでのマーケティングモデルから脱却し、社会的関心事と観光マーケティングを完璧に結合させ、相次いで冒険的なマーケティングイベントを成功させてきた。

1999年にアクロバット飛行隊が天門山の天門洞を通り抜け、2006年にはロシア空軍が同じく天門洞を通り抜けるアクロバットショーを行った。さらに、2007年にはスパイダーマンの異名を持つフランスのアレイン・ロバーツがロッククライミングで天門洞を制覇した。

さらに、2011年にはアメリカ人スタントマンのジェブ・コーリスがウィングスーツで天門洞を通り抜けるイベントには、国内外の200近いメディアがライブレポートに訪れ、1万人余の観光客と共に見守った。このスリリングなイベントは瞬く間に世界に配信され、最高の宣伝効果をもたらした。

 

グリーン経済へのモデルチェンジ

広州・増城市は「無償サービスが消費を牽引し、人気が金運をもたらし、投資が利益をもたらす」をマーケティング・コンセプトとして、グリーン経済へのモデルチェンジを実現し、全市の観光関連産業を発展させた。

増城市は2008年には緑道の造成を開始し、これまでに300億元(約4891億円)余りを投資し、全長360㎞の緑道、自転車道、遊歩道が都市と緑の完璧な融合を成し遂げた。「広州ドライブ・レジャー・フィットネストレイル」、「マイカー旅行で訪れるべき場所」として知られ、携帯電話には絶えず「ライチ祭りツアー・増城」など一連のイベントがアップされ、毎年1500万人の観光客がレジャーや休暇で訪れている。

 

民族舞踊で風情を売りに

貴州・西江千戸苗寨景区は「静的観光のダイナミック観光への転換」をマーケティング・コンセプトに、旧暦の3月3日にミャオ族の「開耕祭」や「情歌祭」など一連のイベントを展開している。

広場では、ミャオ族の少女たちが金銀の装飾品を身に付け民族衣装を着て歌い踊る。観光客は、きらびやかで美しいミャオ族の迎賓舞、芦笙舞、情歌舞、銅鼓舞などの独特の魅力に思わず見とれてしまい、国内外の多くの観光客が演目を見ながら携帯電話のカメラを向ける。かくして、宣伝費を費やすことなく西江千戸苗寨のマイクロ・マーケティングは為されている。

 

グローバル化されるマーケティングとプロモーション

山西省の「平遥国際写真フェスティバル」は2001年に始まり、連続して13回開催されている。今回だけでも国内外から延べ350万人余りの観光客が訪れた。

また、青海省観光局は「青海湖一周自転車ロードレース」を連続して開催し、スポーツイベントを「美しき青海」と銘打った観光商品として打ち出し、効果的に観光地の知名度アップを成し遂げた。

観光のマイクロ・マーケティングは、都市と観光地の現状に基づいて焦点を定めるべきである。盲目的に流行を追うことや、奇抜なアイデアは避け、競争の均質化も防がなくてはならない。

そして、観光客を引き寄せる目玉や起爆剤を企画し、イベントマーケティングを最大に活用して注目を集め、宣伝効果を高めるべきである。さらに、セールスポイントをうまくデザインし、観光客参画型のマーケティング効果を狙うこと。ミニブログやラインで宣伝やプロモーションを行い、観光客を観光地のカメラマン兼宣伝マンにすればよい。