この春節、北京に住むホワイトカラーの羅奇夫妻は、ただ、子どもを戸外でしっかり遊ばせられるようにと、1歳になったばかりの息子を連れて三亜に行った。昨年の冬から、北部の多くの都市はしばしばスモッグに見舞われ、冬の間中、ほとんど子どもを連れて外出していなかったのだと言う。夫妻が旅行社で春節の旅行を決める際の基準はただ1つ、空気のきれいなところであった。
三亜の風景(百度より)
人気観光地は3つに分類できる
羅奇さんのようなケースが多いことは旅行社のデータにも表れている。春節期間の主な旅行先として、海南、雲南、福建、広西などが上位に名を連ねている。南方で気候が温暖ということと、もう1つは他でもなく、きれいな空気が理由だ。
旅行社はこれもビジネスチャンスと捉えている。一部の旅行社やオンラインショップからは「肺洗浄ツアー」、「きれいな空気を吸う旅」、「脱スモッグツアー」が次々と打ち出され、きれいな空気を売りにしている。「果てしなく続くPM2.5の猛威から逃れ、青い空と白い雲と大きな太陽を享受しよう」、「きれいな空気を求めてビーチへ直行」などのキャッチフレーズが観光客の心を掴んでいる。
先ごろ、携程旅行網が予約状況から選んだ「肺洗浄ツアー」の10大人気観光地は、三亜、アモイ、麗江、桂林、昆明、長白山、西双版納、貴陽、大理、黄山であった。
このランキングを分析すると、人気の観光地は大きく3つに分類することができる。三亜、アモイに代表される臨海地域、雲南、貴州、四川といった標高の高い地域、長白山、黄山に代表される高山地域である。これらの観光地は観光スポットも集中しており、空気も良い。中でも昆明は、中国環境緑皮書『中国環境発展報告2012』に記載されている全国31の都市・直轄市の中で、大気質ランキングで第2位である。
観光客の「足」による投票
中国旅游研究院が発表した『2013年全国観光客満足度報告』によると、2013年、全国の観光客満足度は四半期ごとに下降しており、全年の指数は74.88で「一般レベル」であった。中国旅游研究院産業所の李仲広所長は、満足度が低下した主要な原因の1つに、大気質など都市環境における敏感な要素を挙げる。観光市場において北京は、春節の連休について言えば、多くの観光商品価格が下落しており、一部には下げ幅が50%以上になった商品もある。
現在は、海南、雲南などへの「肺洗浄ツアー」が依然として人気商品である。中でも、最近最も注目を集めているのが三亜である。業界関係者は、暖かくなるにつれて出かける人も増え、「肺洗浄ツアー」はより活況を呈するだろうと予測する。
この「肺洗浄ツアー」人気は、まさに観光客が「足」で投票した結果である。旅の質やレジャー体験を重視する時代になり、大気質はすでに、多くの観光客が観光地を選ぶ際の譲れない条件となっている。
スモッグ問題で北部地域の多くが観光客を減らすなか、森林面積率が35年連続で全国トップを維持している福建省は、積極的に「清新な福建」をスローガンに打ち出し、「森林酸素バー」、「肺洗浄の旅」などのエコツアー商品が観光客に喜ばれている。近日、福建省は観光特別資金を充てて、省内の50カ所の3A以上の「自然景区」に大気モニタリングスポットを設置し、全国に先んじて50カ所の「自然景区」の大気質指数を公布し、観光客に提供する。福建省はこのスタイルで国内外の観光客向けに福建の優れた自然環境と大気質を示し、側面から観光を促進したいとしている。
中国唯一の熱帯島しょの省として最大の熱帯雨林を有する海南は、自然観光資源に恵まれ、これまでずっとエコツアーを海南観光の力点としてきた。いま、 観光客のきれいな空気へのこだわりが、海南のエコツアー開発の新たな足がかりとなった。昨年の冬から、海南のきれいな空気が多くの観光客に強い印象を与え、ネットによる相互作用で、より多くの人を引き寄せている。
僻地の後発優位性を期待
楊?張さんは雲南省臨滄市滄源県に農家楽(民宿)を開き、現在、3つ星観光レストランを申請中である。楊?張さんの農家楽は翁丁村にあるが、村には彼のように農家楽を営む者が多い。翁丁村にはこれといった産業はなく、農業の収穫も良くない。まさに観光開発が、立ち遅れた村の様相を変えた。元々あった茅葺き家屋は残し、道路、?(ワ)王府、?(ワ)族民族陳列室などを造った。楊?張さんの眼に映る「山間の僻地」には、観光客を引き付ける独特の魅力があった。
同じく、青海も保護区独特の自然資源と豊かな自然の景観を十分に活用し、積極的にエコツアーを開拓している。現在、青海にはすでに、青海湖保護区のバードウォッチング観光、大通北川源区保護区観光、孟達保護区の森林観光、可可西里保護区の探検観光など特色あるエコツアー商品を揃え、毎年多くの観光客を引き寄せている。
立ち遅れた西部地域においては、如何により多くの観光客を引き寄せ、観光業を持続発展させるかがかねてより重要な課題であった。「肺洗浄ツアー」人気が人々の生態環境への関心を誘発した。今後は、強力なエコツアー開発によって、西部地域の観光業発展における後発優位性を期待できるかもしれない。
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