この秋からクリーンな観光に
「旅游法」の実施で変わる中国観光市場

中国旅游研究院は先日、今年の中秋節・国慶節の休暇における観光市場に関する予測を発表した。「旅游法」の実施は消費の先行きや一部団体旅行価格に値上げをもたらすが、観光消費意欲はなお上昇傾向にあり、観光の提供とサービスは安定しながら伸びを示している。「旅游法」の実施は、国慶節期間の観光市場における最大の注目点だ。現在、中長距離路線の値上がり、ショッピングの場所、オプション、観光地キャパシティー設定とガイド報酬などの面に世論の関心が集中している。

 

 

レジャー型がニーズの中心

中秋節・国慶節の連休は、消費者が余裕を持った旅行ができる日程になっており、「旅游法」の実施は各級政府が環境の合理的発展を推進し、観光客の合法的権利の保護にも有利に働く。また、国慶節連休はミニバスの高速道路無料化により、マイカー観光が促進される。

旅行内容は、国内の大衆レジャーのニーズが依然として高い。夏以来、猛暑と自然災害によって観光市場が低調だったため、秋の2つの連休にはニーズが一気に吹き出す可能性がある。個人旅行志向が強まり、消費者の関心や旅行意欲も例年より高くなっている。

両連休中に全国の観光地で受け入れる観光客は延べ4億3900万人、昨年同期比で18%増、観光収入は2247億元(約3兆6084億円)と昨年同期比22%増と見込まれている。

 

個人旅行や高品質旅行に人気

予約から見ると、一部団体ツアーが値上がりしたことと、両連休の間がやや長いため、長距離旅行が減少し、近距離観光、農村観光、マイカー旅行、個人旅行、高品質ツアーが国慶節の人気商品となっている。予約は、ショッピングが入らない個人旅行、マイカー旅行のセットチケットや高品質旅行が好調である。地域的には、雲南、四川、甘粛省などの西部地域が長距離観光市場として影響が出ており、新興の観光地や都市周遊などが人気となっている。

連休市場で最も微妙なのは、海外旅行価格の変動で、「旅游法」の観光サービスに対する規制を受け、旅行商品の価格は値上がりしている。特に東南アジア、オーストラリア、欧米などの路線は値上がりしており、そのうち米国路線の価格は1万元(約16万円)以上も値上がりしている。また一部の旅行社が「旅游法」実施の効果を予測し、国慶節期間のオンライン商品は大幅に減少している。

しかし、一部の旅行社が海外旅行を値上げしたり、価格の発表を遅らせているものの、大手の旅行社とオンライン旅行社の商品と価格を見ると、衆信、春秋など大手ではおしなべて正常価格であり、比較的安い海外旅行商品も多い。日本、韓国、東南アジア、海南島などが人気で、テーマツアー、高品質ツアーなどが特に売れている。

消費者は旅行社がこの機に大幅に団体旅行の料金を上げないように望んでおり、行程の質を最も重要と考えている。タイ、韓国などの目的地は市場拡大に力を入れている。広東省物価局は、国慶節期間中、ツアー全行程を購入した観光客に対して入場券価格の最低20%を優待するよう文書を出した。

長期的に見ると、この種の市場と消費者ニーズの結びつきの変化は、旅行商品価格が合理的なものに戻る方向へ促し、悪性の競争を避け、観光の産業構造の調整に役立つものである。

 

指導と管理で文化的旅行を

文化的な観光マナーが市場監督管理の重点となる。これまでも旅行中の非文化的行為がメディアから注目されている。「旅游法」の第3章には、文化的旅行について明確な条項があるが、連休中の観光客の大幅増によってトラブルが発生しやすくなる。指導、監督について社会全体が期待している。

そのほか、個人客市場の価格、サービス、クレーム処理については依然として監督管理が難しく、観光地のキャパシティー超過が引き続き話題になる可能性がある。

昨年の国慶節期間中に故宮を訪れた観光客は延べ70万7000人と史上最高となった。北京の万里の長城、アモイのコロンス島の日光岩、陝西省の華山などの有名観光地もキャパシティー超過となった。価格の上昇、サービスの低下などが、やはりクレームの中心となっている。連休中には、高速道路の渋滞、駐車場不足、交通事故なども問題視されるだろう。

この秋の観光シーズンに対し、観光行政の主管部門による重点観光地、集散地のフロー管理、応急的なプランと管理の協調の整備が、以下の面で期待されている。①オンライン旅行社の予約と入場券販売などを通して、観光客の流れを把握し、即時に事前警戒情報を発表すること。②路線情況の情報公表、道路緊急援助および観光地の入場制限で予想される問題発生などに対する対応策を作成すること。③観光、交通運輸、鉄道、航空、衛生、気象などの各部門間の協力を強化し、観光客フロー情報の収集、予測と公表、即時に交通、宿泊、観光、気象などの外出情報を公布し、観光市場の秩序あるルール化を保証すること。