「世界で最低の観光客」の汚名を返上しよう

許されない3つの行為

①所かまわずゴミを捨てる、ベンチで靴や靴下を脱ぐ、所かまわず座り込むなどの行為。②公共の場での自分勝手な行動、観光地の「大きな声で話さない」、「静かに」などの警告標識を守らない行為。③旅行地の習慣に従わない、外国の文化・ルールを守らないなど、中国人観光客への反感を買う行為。

現在、観光地の文物に字を刻む、空港で航空会社に難癖をつける、公共の場で大声で騒ぐといった中国人による海外旅行中のモラルに欠ける行為が起きている。

 

「世界で最低の観光客」

「度々ガイドとして国外に出ますが、心無い観光客の行為に胸を痛めています」と、上海錦江旅游有限公司でガイドをしている黄晨薇さんは嘆く。海外旅行ができるようになったことは、中国国民として誇れることであるのに、一部観光客のモラルを欠いた行動によって道中が重苦しいものになっている。

黄さんによれば、出入国審査ではいつもスタッフにたどたどしい中国語で「並びなさい」と注意され、観光地のトイレには「トイレットペーパーを散らかさないでください」と中国語で注意書きがしてある。また、現地の人に「歩く財布」と呼ばれているのを聞くと不愉快な気持ちになるという。

中国経済の発展と国民の生活レベルの向上に伴い、国外に出る中国人は増え続け、ニューヨークの五番街、パリのルーブル美術館など、どこでも中国人観光客の姿が見られる。データによると、今年5月までの中国人の海外旅行者は延べ3792万6400人にのぼった。しかし、モラルを欠いた行為により、事件や揉め事も起きている。数ある「世界で最低の観光客」調査では、すべて中国人観光客がトップである。

 

モラルを欠いた行為が

マイナス効果を呼ぶ

中国外交部の張業遂副部長の見解はこうだ。「中国人観光客のモラルを欠いた行為は、1つには、他国の人々の反感を買い中国のイメージを傷つけ、2つには、関係国の中国企業、華僑、留学生に不都合をもたらし、3つには、マナー違反を犯した本人がいらぬ面倒や損失を被り、4つには、海外旅行客のトラブルがネットなどを通して国内に偏った形で喧伝され、党・政府のイメージをダウンさせ、海外の大使館や領事館にも負担をかけています」。

中国社会科学院旅游研究センターの張広瑞主任は指摘する。「観光客自身の質が低く、モラルが劣っていること以外に、文化の違い、生活習慣、海外旅行の経験が浅いなどの要因も考えられます」。

 

節度ある行動を

旅行契約に盛り込む

7月31日に行われた中国人の海外旅行モラル向上テレビ会議において、国家旅游局の邵琪偉局長は、「ツアーの事前教育や告知制度を徹底する。ハンドブックを作成し事前教育を規範化する。ガイド・添乗員の旅行中の責任を強化する。さらに、節度ある行動を旅行契約に盛り込み旅行者のモラル向上を図りたい」と表明した。

天津市中国旅行社で添乗員をする李楠さんは言う。「海外旅行中のモラルを欠く行為は、旅行者の出国後の不安感や緊張感が関係しています。ですから、彼らの団体意識を高め、旅行者同士、旅行者と引率者間の信頼感を強め、常にアットホームな雰囲気作りをして、それらの行動を抑えていく必要があります」。


ルーブル美術館前で足を洗う中国人観光客