異業種コラボでホテル業界に新たなチャンス

7月1日、蓬達CPEホリデーカードは中国国内のホテル業界の先駆けとして杭州?点零取引所に正式に上場した。業界関係者は、伝統的ホテル業と金融業のコラボレーションは、ホテル業界発展に新たなチャンスを生むだろうと語る。こうしたイノベーションは、ユーザーにまったく新たな体験をもたらしてくれる。いま、ホテル業界で囁かれる言葉がある。「インターネット時代におけるホテル業界の発展にコラボレーションは欠かせない」。


関連のアプリをダウンロードすれば、付近のレストラン、娯楽、ショッピングなどの情報を教えてくれる。(新快網より) 

 

有名ブランドが業界に参戦

本年3月、世界最大のホテルグループであるマリオットホテルグループは、スウェーデンの最大手家具販売店IKEAの不動産部門と提携し、ヨーロッパに新たな格安ホテルMoxyを打ち出した。第1号は、2014年にミラノにオープンし、10年の内にヨーロッパ全土に150軒のチェーン店を展開する。トニノランボルギーニホテルは昨年末に、中国で2番目のチェーン店を江蘇省昆山市の中茵世貿広場にオープンした。将来的には、長江デルタ地域に9軒のホテルを計画している。2012年9月には、世界第4位のブルガリホテルが上海華僑城に完成し、さらに、フェラガモ、アルマーニ、ヴェルサーチなどの世界的な有名ブランドもホテル業に乗り出している。

ホテル業は典型的な経験経済である。上海社会科学院旅游研究センター特約研究員の趙煥?氏は指摘する。「経験経済においては、企業はいかに舞台を提供し、体験的要素を商品やサービスに附帯させるかを追求しなければなりません。プロセスを消費するのであり、消費者は体験に対して喜んで対価を支払うのです」。

マリオットとIKEAの提携においても、この点を重視している。IKEAでは、顧客はすべての家具に直接触れて体験できる。“直接体験することで、顧客は商品の特徴をありのままに表現でき、顧客がブランドの宣伝マンとなる”―IKEAのこのサービス理念がホテルサービスのモットーとも符号した。ホテル側も有名ブランドとのコラボによって、ホテルのハード面の質を向上できるとともに、顧客は、2つ以上のブランドを1つの空間で体験でき、文化の融合による新しい感覚を味わうことができる。

 

ホテル+不動産で相乗効果

目下、中国の観光業界は観光型からレジャー型へ移行しており、リゾートホテルの勃興にも拍車がかかった。同時に投資、リゾート、文化・保養の3つの側面を備えた観光不動産が広く市場の支持を得た。多くの観光不動産施設が開発にあたってホテルを導入し、ホテル+不動産の発展モデルによって、観光不動産はスムーズにその名前を浸透させることができる。とはいえ、統計によると、これまでに全国で3000近くの観光不動産プロジェクトがあったが、アメリカフロリダのPGAナショナルリゾートアンドスパ、ワシントンのバークレイクパーク、オレゴンのサンリバーリゾート、長崎のハウステンボス、シンガポールのクラーク・キーなどのような世界的名声を博すようなプロジェクトはない。

ホテル業界と観光不動産のコラボは決して簡単ではない。まず、ブランド、ハードウェアのコラボが重要な条件である。次に、両者の担える役割は異なるため、上手にコーディネートして相乗効果を生む必要がある。ホテルが観光不動産施設に入ることによって、施設に顧客を呼び込み、成熟したサービス理念をもたらすことができる。とはいえ、ホテルが担える役割は決まっており、宿泊客の多様なニーズを満足させるために、的確なコラボレーションを図る必要がある。そうしてはじめて、効果的にホテルの固定客を確保し、観光不動産プロジェクト全体を発展させることができる。

昨年11月、ナラダホテルグループは初めてヴィラを打ち出た。“先にホテルを造り、後にヴィラを造る”という運営モデルは、グループの10年にわたるホテル管理の経験を、ヴィラの運営に活かし、ホテルとヴィラの相乗効果を生み、中国国内の観光不動産業に新たな指標を提示した。

 

新技術で正確な情報を提供

中国インターネット情報センターの報告によると、2012年末までの中国の携帯電話のネットユーザーは4億2000万人で、ネットにアクセスしている時間は1日平均124分になるという。モバイルの急激な発展は、ホテル業界の収益拡大に新たなチャンスをもたらした。

現在、多くのホテルチェーンが、各種ホテル予約ソフトを開発し、スマホにダウンロードでき予約が便利になった。さらに、微信(ウェイシン、中国版LINE)、微博(ウェイボー、中国版Twitter)、QRコード、ソーシャルネットワークなどのモバイルは、ホテル業界の営業に活用されている。微信のホテル予約は、直接予約システムにアクセスでき、地理を把握して正確に情報提供を行うため、消費者に喜ばれている。

新たなコミュニケーションツールによって、文字や写真を伝えるだけでなく、ユーザーのコメントを載せ、企業広告を出し、検索サービスで周辺の各種サービスの情報を共有できる。消費者は予約だけでなく、正確な商品の情報を得ることができ、タイムリーに情報がフィードバックされる。こういったことは、顧客のブランドへの信頼感を高めるであろう。

中国ホテル協会の韓明会長は「現在、インターネットによる営業技術は、マーケティングプラットフォームからモバイルへと移行しています。こうした技術によって、ホテル業界は経営スタイルの転換を余儀なくされています」と語っている。