最近、中国旅游研究院はctrip傘下の『鴻鵠逸游(hhtravel)』(注1)と共同で、国内で初めて『中国ハイエンド旅行者パフォーマンス研究レポート』を発表した。その中で、富裕層の53%が毎年3回以上海外旅行へ出かけ、その内68%は1回の旅行で1人当たり5万元(約76万4000円)以上を消費していると明らかにしている。多くの人はハイエンド旅行とは豪華旅行であり、5星クラスのホテルに泊まり、航空機のファーストクラスを使うことだと考えている。ハイエンド旅行が対象としている旅行者の消費能力が高く、ハイエンド旅行商品の価格が通常より高いことは紛れもない。だがハイエンドとは必ずしも豪華であるということとイコールではない。ハイエンド旅行が強調しているのは個別のニーズと体験を深めることで、商品の品質やサービスの質などに対する要求が高い、一種の高品質、個性化、配慮に満ちた旅行形式であり、大衆旅行がある段階まで発展すれば行き着く必然の商品だ。
1 巨大な潜在市場
ある分析データによると、現在中国人で600万元(約9160万円)以上の資産を有する人は270万人に達しており、その内の6割の人はハイエンド旅行サービスを選ぶと述べている。旅行は中国の中高所得層が最も好むレジャーだ。ctripが2010年に発売した「最高級世界一周60日間」は参加費用が50万元(約760万円)だが、20名の募集枠は発売後9分で完売した。2011年の世界一周旅行は66日間で66万元(約1000万円)だったが、10名の定員はわずか30秒であっという間に埋まってしまった。これはハイエンド旅行が間違いなく巨大な潜在市場を持つことを示している。
2013年の春節のゴールデン・ウイーク期間中、アモイでは新しくヘリコプター空中遊覧を打ち出して旅行客の好評を博し、期間中の6日間で120回以上実施され、利用者は500人以上に上った。胡潤研究院(中国の民間調査機関)が先日発表した『中国億万長者ブランド傾向レポート』によると、現在、その独特な風光と濃厚な地域の民俗文化で新疆が国内の億万長者の観光客を引き付けている。
2 個性的な体験と高い品質を重視
ハイエンド旅行商品は旅行者の個別の夢を最大限に満足させることができ、サービスはきめ細かく、その商品はしばしば「新」「奇」「特」などと銘打たれている。2013年の初め、鴻鵠逸游は投資可能な資産が100万米ドル(約9600万円)を超える人々を対象に「2013世界十大ハイエンド旅行商品」を発表したが、商品の平均価格は9万元(約137万円)で、参加者はファーストクラスを利用した機上のスウィートルームで16日間の世界一周を楽しむことができる。
世界一周シリーズの他にも、鴻鵠逸游の定番ハイエンドコースはヨーロッパ、北米、中南米、アフリカ、中東、オセアニア、南太平洋、アジア、南極と北極など全世界のあらゆるデスティネーションをカバーしている。
ハイエンド旅行のブランドである『飛驢湾』は2012年末に文明の神秘・ラテンアメリカ教養とビジネスの旅、アフリカ自然保護区の旅、アフリカ鉱山の旅、レンズを通してみる・世界撮影の旅など12の特別コースを打ち出している。
取材中に分かったのは、航空サービスの面では70%の富裕層がビジネスクラスないしファーストクラスを選ぶということだった。ホテルは国際的に名の通った豪華ホテルであり、またトップクラスのリゾートやプライベートガーデンも非常に好まれている。ホテルのロケーション、ブランドの知名度、立地環境とサービスは富裕層がホテルを選ぶ際の重要なポイントになる。
3 国内のハイエンド旅行商品ブランドは急速に成長
『中国ハイエンド旅行者パフォーマンス研究レポート』によると、富裕層が旅行先としてまず選ぶのは依然としてヨーロッパで、54%が今後1年以内にヨーロッパへの旅行を計画している。その次が北米、南米、アジアの順で、それぞれ22%、19%、18%を占めている。フランスはショッピングの目的地としてトップの座を占めており、香港、イタリア、スイス、米国、イギリスも富裕層から好まれる。富裕層が最も好むオーシャンリゾートのトップはモルディブで、その次がハワイとなっている。現在販売されているハイエンド旅行商品の中で、国内のハイエンド旅行商品の比率は国外旅行商品の数に遠く及ばない。
ハイエンド旅行は国内の旅行市場における『ブルーオーシャン』であり、そのマーケットはまだスタートしたばかりだ。2012年、多くの旅行企業がそれぞれ異なった形式のハイエンドを旗印にしてこの『ブルーオーシャン』に参入した。ctripは『鴻鵠逸游』を通じてハイエンドな豪華旅行をリードし、驢媽媽(http://www.lvmama.com/)(注2)は『飛驢湾』を販売して主に人文系のブランドを打ち出している。遨楽網(http://www.myaln.com/)や?枝選(http://www.lychee.com/index.html)などのサイトはハイエンドホテルを切り口に次々とマーケットに食い込んでいる。
中国のハイエンド旅行のブランドは急激に増加し、プロバイダーは中国マーケットに細心の注意を払っている。業界人の分析では、豪華さを享受することに重点を置くものと個性的な体験を重視するものが引き続き並存するだろう。マーケットがより細分化され、それ以外の形のハイエンド旅行も出現し、旅行者の個性的なニーズの共通性に基づいて徐々に集約され、ハイエンド旅行を標準化していくことになるだろう。
(注1)鴻鵠逸游(hhtravel):c-tripが2012年3月に香港の永安旅游、台湾の易游網と共同で設立した子会社
(注2)驢媽媽旅游網:2008年に設立された中国の代表的なB2C旅行イーコマースサイト
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