第5回中国養蜂業の高度な発展およびビジネス環境の最適化に関する国際フォーラムが北京で開催
養蜂は民族と国家をたくましく成長させる

5月20日は「五二○=我愛你」という発音の語呂合わせから、中国の若者たちにとって「甘い」第二のバレンタインデーとなっている。また国際的には、「世界ミツバチの日」として制定されていることから、その甘さは二倍である。

2022年5月20日、中国品質万里行促進会と北京市エコ産業発展促進会の主催により、中国品質万里行促進会エコ養蜂業専門委員会が開催運営する「第5回中国養蜂業の高度な発展およびビジネス環境の最適化に関する国際フォーラム」が、北京のメイン会場と各地のサブ会場、国際会場を結んでオンラインで開催された。

 今回の国際フォーラムの注目点の一つは参加者の多様化である。市場管理、品質規格、金融情報化、エコ環境、農林、観光、公共安全、医療福祉など多くの業界から専門家が参加し、いまや養蜂業は単一の産業ではないことが明らかとなった。

 第二の注目点はメイン会場とサブ会場の広域化である。新型コロナ感染防止の観点から、今回は北京にメイン会場を設置、同時に陝西省延安市、山東省青島市、湖北省神農架林区、遼寧省葫蘆島市、四川省広安市などに国内のサブ会場を、さらにニュージーランド、オーストラリア、日本、トルコ、マレーシア、ドイツ、韓国、カナダなどに国際会場を設置し、国内外のインターネットメディアも積極的にサポートした。

このことからも、第5回を数える「中国養蜂業の高度な発展およびビジネス環境の最適化に関する国際フォーラム」が放射状に広がり、養蜂業が中国と世界をリンクさせる新たな連結点となったことがうかがえた。

養蜂業に対する5つの提案

 中国品質万里行促進会の劉兆彬会長はフォーラムの基調講演のなかで、養蜂業のビジネス環境最適化に対する5つの提案を単刀直入に示した。

第一に、養蜂業市場本体への参入の簡便性を高め、コンプライアンスのコストを抑える。

第二に、養蜂農家の養蜂場取得のための取引コストを下げ、不要な障壁を失くす。

第三に、公的サービスのレベルを向上させ、養蜂農家の生産経営に便宜を図る。

第四に、養蜂業に対する金融サービスをレベルアップし、市場本体の税負担を軽減し、保険制度を完備する。

第五に、養蜂業の市場秩序を大幅に整備し、統一されたフェアな競争を維持する。

劉兆彬会長の5つの提案は、現在の中国養蜂業の課題であり、中国養蜂業に対する処方箋とも言える。

「養蜂大国」から「養蜂強国」へ

 中国農業科学院蜜蜂研究所の彭文君所長は「養蜂業の高度発展を促進する」と題した挨拶のなかで、未来の中国養蜂業の成長は「四つの分野、二つの一流」、すなわち農業、健康、エコ、農村振興サポートの分野において、多機能で開放的かつ総合的な「大農業」、食の安全を重視する「大食物観」を確立すべきと提案した。さらに基礎研究と先端技術研究開発を加速し、科学技術という土台を強化することで、養蜂業は「国之大者」である国民のために「月下老人」(縁結び)、「健康の良き友」、「美しい農村」という役割を実現するべきだと述べた。

彭文君所長はさらに、中国は「養蜂大国」にとどまることなく「養蜂強国」にならなければならないと強調した。

専門委員会はリーダーシップを発揮

 中国品質万里行促進会エコ養蜂業専門委員会主任の惲銘慶博士は、専門委員会の設立後に遂行されてきた業務について総括した。

博士によると、専門委員会は陝西省延安市、四川省広安市、浙江省千島湖市、湖北省神農架林区、遼寧省葫蘆島市、広西チワン族自治区の都安ヤオ族自治県といった地方自治体のサポートの下、デジタル化エコ養蜂業モデル試験地区を建設、エコ養蜂業の振興プロセスを通して「両山理論」(緑の山河こそ金山銀山に他ならない)を実践し、貧困撲滅、農村振興と一帯一路経済の発展を推進してきた。

さらに惲銘慶博士は、将来は以下の四点に注力するとした。

一つ目は、専門委員会が既に持つ科学研究モデル地区の成果をすみやかに還元し、スマート養蜂業の新モデルをさらに拡大すること。具体的には、各地域が金融包摂を運用して養蜂業のデジタル化・スマート化を進めるのを積極的に援助し、農村振興とエコ・健康・カーボンニュートラル産業の発展を推進させることである。

二つ目は、統一的大市場の建設に関するリサーチを進めること。統一的大市場の定義とその構成要素を真摯に学んで理解すると同時に、指向的で確たる研究方向を持つ必要がある。そうして迅速にその成果を社会の実践の中で生かしていく。

三つ目は、専門委員会と会員、養蜂業者との連携や、指導、サービスをさらに拡充させ、双方の架け橋の役割を担って、統一的大市場の中核を形成すること。

四つ目は、歴史の新たな段階を迎えて新たなスタート地点に立ち、国際的な交流と提携を強化し続けること。共に創造し、共に建設し、ウインウインのシェアメカニズムを形成し、エコで健康的な蜂蜜事業を大きく成長させること。

以上のように、惲銘慶博士は国際フォーラムにおいて、中国の養蜂業にはじめて設置された専門委員会の成果を示した。

高規格・高品質とビジネス環境との連動

 元中国国務院参事、中国品質協会副会長であり、品質と標準化の著名な専門家である郎志正教授は、「養蜂業の規格化と質の高い発展の推進」について、規格は質の高い成長を保証するもので、ハイレベルな規格がなければ、高品質な製品もできないことを特に指摘した。

また、郎志正教授はフォーラムのテーマに合わせて、良好なビジネス環境がなければ、高品質なハチミツも生まれないとした。高品質なハチミツには高水準の規格が必須であり、それにより養蜂業とビジネス環境の好循環を推進することができると述べた。

国際的ゲストによる広い視野からのヒント

 本誌編集長の蒋豊は、日本では新型コロナ感染拡大期間において、ハチミツ製品市場が逆に成長したことを紹介し、新型コロナに対するハチミツ製品の効果が日本で広く認知されたとした。そして、日本がハチミツ輸入の多角化を進めている手法は、われわれがよりうまく、より深く、より徹底的に国内の統一的大市場を育成するためのヒントをもたらす「他山の石」であることを強調した。

 普華永道中国地域経済主管パートナーの張立鈞氏は、ミツバチは生物多様性の重要な構成要素であること、普華永道は世界最大の専門的サービス提供機関の一つとして各業界で良好な成果を上げ、特にカーボンニュートラルの分野において研究を深めていることを述べ、エコ養蜂業発展のために貢献できることを楽しみにしていると結んだ。

 ISO(国際標準化機構)のISOスマート農業戦略提案グループのR・アンドリュー・フェレイラ主席とISO中国秘書処の李璇博士は、ISOに新しく設立されたスマート農業戦略提案グループを紹介した。今後スマート農業の発展基準を定める予定で、スマート養蜂業はその主要なコンテンツの一つであることから、養蜂業もスマート時代を迎えるであろうと述べた。

 ユヌス基金、アジア金融協力協会金融包摂委員会の高戦秘書長は、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が金融包摂(Financial Inclusion)の具現者であること、そしてアジア金融協力協会金融包摂委員会は、養蜂業の発展のため継続的に金融包摂の実践の道を探っていることを述べ、将来多くの養蜂農家が金融サービスの受益者となることを願っているとした。

 ニュージーランドハチミツブランドの専門家である、専門委員会の王小選副主任は、ニュージーランドは世界の養蜂業発展の手本であり指標であるとし、同国のマヌカハニーの状況を紹介、そのなかで、中国とニュージーランドの養蜂業交流の促進事業について説明し、将来は中国のマヌカハニーを作り出したいと語った。

 オーストラリアハチミツ産業委員会輸出部のダミアン・ヒル氏はオーストラリアの養蜂業について紹介、将来的な両国の提携交流の強化に期待すると述べた。

国内ゲストは自身の成果を語る

 遼寧省葫蘆島市軍民融合およびニューマテリアル産業発展センターの龔勛博士は、葫蘆島市が専門委員会のパイロット基地で、中国初の最も美しいスマート養蜂村のモデルケースであり、養蜂業の発展は貧困撲滅、農村振興に照準を合わせたものだと発言した。

 広西チワン族自治区都安ヤオ族自治県の医薬健康管理有限公司会長の殷昌平博士は、国家への思いがこの数年彼を山奥に入らせ、養蜂業の発展と中国医学医薬がヤオ族の貧困農民に福音をもたらし、デジタル化によるスマート養蜂業の発展が積極的に推進されたと語り、将来は山々にさらに輝かしいハチミツ絵巻を描きたいとした。

 陝西省延安市養蜂業協会の許愛忠会長は、延安は革命の聖地であり、専門委員会のサポートの下、延安養蜂業は質の高い発展を推進してきたこと、高品質なアカシアハチミツの生産とブランド構築、貧困撲滅において大きな成果を上げてきたことを述べ、特にここ数年リンゴのミツバチ授粉の普及により延安リンゴの生産と品質が向上し、農家の増産増収が顕著となり、農家に歓迎されていることを紹介した。

 中国養蜂業の匠で、新疆アルタイ新源養蜂合作社の安伝遠社長は、質の高い発展への理解を示し、多くの養蜂農家の心の声と期待を語った。彼は第一陣の養蜂業の匠として長年新しいことに取り組み、匠の精神を発揚してきた。

彼らが生産したハチミツは国際養蜂大会で金賞を獲得、多くの養蜂設備機器の発明も手がけており、養蜂の大規模化、機械化を遂げてきた。またマチュアハニー生産の手本でもあり、国内外各地から高品質ハチミツ生産を依頼され、多くの養蜂農家の模範となっている。

中国養蜂業は新しい局面へ

 出席したゲストはエコ養蜂業の健康的な発展、資源保護と環境保護、世界経済と自然との共同発展の促進など、極めて今日的なテーマに関して意見をシェアし、討論をおこなった。

 エコ養蜂業は農業のなかの重要な一部分であるだけでなく、ミツバチ授粉は農作物の病気対策や増産を促進する。とりわけ土壌と植物の炭素固定能力を向上させる有効なプロセスである。国際機構の「人工介入+固体能力について」などの要素分析と計算によると、実践と検証を繰り返した結果、ミツバチ授粉は植物の生命力向上に有効であり、したがって炭素固定能力が高まると推定されている。

つまり、エコミツバチは生物多様性の維持にとどまらず、養蜂の大規模化や産業化はカーボンニュートラル産業の重要なコンテンツでもあり、このことはISOも重視し認めている。「ミツバチ受粉は植物と土壌の炭素固定能力を急速に高める」という推断と論証も速やかに国家環境部トップの目に留まることとなった。

 2021年11月30日、駐スウェーデン中国大使館が参与して共同開催された「2021ノーベル賞SDGsファンドモルガンサミット」で、中国はダブルカーボン目標の持続可能な経済成長をテーマとするスピーチをおこない、国際専門フォーラム会議では、まずデジタル化を活用したミツバチ産業でカーボンニュートラル産業の成長を推進するというプランを提出し、参加者と国内外のメディアの注目を集めた。

現在、まさに中国科学院環境研究機構とクリーンエネルギーやエコ産業の専門家が、総合的に利用できるイノベーション主導型プランの研究に力を入れている。

 最近、中国国務院は「全国の統一的大市場建設の加速に関する意見」を公布し、中国社会のためにより優れた政策基盤を提供した。これにより、ミツバチ産業のビジネス環境の最適化も必須となった。

中国エコ養蜂業における質の高い発展の実現には、まず制度のイノベーションが必須である。そして高水準の維持から着手すると同時に、能力のイノベーションも実現しなければならない。

今回のフォーラムでの検討は、伝統産業が新しい成長分野を見つけることに役立つだろう。自己の長所をうまく発揮し、速やかに新しい成長チャンスを捉え、エコ養蜂業の高品質な成長を推進させなければならない。

 今回のフォーラムは、国家工信部経済合作センター、中国緑色サプライチェーン連盟、中国農業科学院ミツバチ研究所、アジア金融合作協会、ブランド中国戦略企画院、ISO秘書処、双緑シンクタンク、延安市人民政府、広安市人民政府、白山市人民政府、神農架林区人民政府、葫蘆島市人民政府、オーストラリアニュージーランド蜂業標準社、ニュージーランド蜂業協会、新華社『経済参考報』、『人民日報海外版日本月刊』、『中国食品質量報』、一帯一路電視台、世界中文報業協会など、20以上の団体・企業の支援を受けた。

 これまでの5回のフォーラムを振り返ると、中国養蜂業はすでに、科学的かつ持続可能な新しい成長の道を歩み出していることが分かる。未来の中国養蜂業を展望すると、中華民族の偉大なる復興が不可逆的な歴史のプロセスを進むなかで、それは間違いなく特別な力を発揮するであろう。

 養蜂業をたくましく育てることは一つ一つの家庭に関わるのみならず、一つの民族、一つの国家に関わる大事なのである。それはいずれ人類という運命共同体のために新たな推進力を提供することになるだろう。