実用性より趣味を重視してお金を使う若者が増加

フィギュアやブラインドボックス、アートトイ、文化クリエイティブグッズなど、伝統的な消費観念では視野に入ることのなかったグッズが現在、中国の若者の間でますます人気を集めるようになっている。その理由は「好きだから」であるにほかならず、趣味にお金を使うというのが、今の消費市場において一層普遍的になり、特に若者の間ではその傾向が際立つようになっている。

好きなものを衝動買い

好きだから買い、値段やすでに何個持っているかはあまり気にしないというのが、趣味のためにお金を使う人の大きな特徴だ。中国社会科学院社会発展戦略研究院の戈艶霞副研究員は、「生活が物質的に日に日に豊かになり、人々の精神文化に対するニーズも日に日に高まっている。商品やサービスに込められている、またはそれらが宣伝している文化的価値の属性が、消費者の意思決定においてより重要な要素になってきている」との見方を示す。

上海応用技術大学・消費者行為研究センターの宋思根主任は、「商品の実用性やコストパフォーマンスを重視する年長者と比べると、若者は趣味に基づいて消費する傾向が強い。SNSは『趣味消費』台頭の推進力で、インターネットにより、互いに消費が刺激され、個人の消費心理が強く呼び起こされる。普通の消費者も、キーオピオニオンリーダー(KOL)の推薦や互いの経験のシェアの影響を受けて、関連の消費に対する熱意に火をつけている」と分析する。

北京のある中学校に勤めている彤彤さんは、ブラインドボックスが大好きで、学生の時はまだニッチだったブラインドボックスが、大ヒット商品となるまでの過程を目にしてきたという。そして、「新商品が出ると買わずにはいられない。それに、始めは一番好きなものだけを選ぼうと思っていても、選んでいるうちに、全部ほしくなる。ブラインドボックスが好きな人の間でよく言われる『きりがない』というのは、まさに私のこと。でも、本当にやめられない時がある」と話す

中国青年報のある調査によると、「趣味のために年間どれほどのお金を使うか」との質問に、回答者の約44%が「1000元(約1万9800円)以下」、26%が「1000-5000元(約1万9800円―約9万9000円)」と答え、「ほとんど使わない」との回答は19%にとどまった。彤彤さんは、「ブラインドボックスは1個69元(約1366円)とすると、年間十数個、毎月平均1個買っている」と話す。

ブラインドボックスだけでなく、どんな趣味でも、そのためにお金を使う人は衝動買いしてしまったり、買いすぎてしまったりする可能性がある。中古品取引プラットフォームを見ると、「たくさん衝動買いしてしまった」や「買った時は好きだったけど、もういらなくなった。引き取ってください」と書き添えられているグッズがたくさんある。また、そのグッズも十数元の手帳や文房具から、数百元、千元以上のフィギュアやアートトイまで、なんでも揃っている。

専門家は、「自分の感情を満たすためにお金を使う時、できるだけ実用的な商品を選ぶようにするほか、健全な消費理念を養わなければならない。楽しみのためにお金を使うべきで、衝動買いしてはならない」とアドバイスしている。