梅州の「泥風呂」体験

「鉱泥風呂は健康によく、温泉につかると体中がピカピカ。身も心も軽やかに、夜はぐっすり夢も見ない」。このうれしくなるような客家の山唄は、私の「五華・熱鉱泥風呂」への憧れをかきたてます。

鉱泥とは温泉の底に沖積した粘着性の泥のことです。泥の検出測定によると湯湖温泉と熱鉱泥には60種以上の体に必要な微量元素が含まれており、リューマチ、関節炎、四十肩・五十肩、神経痛、骨折の後遺症など60余りの病気の治療や健康増進、ダイエットや美容に独特な効用があることから「天下一の奇泥」と呼ばれています。

「熱鉱泥山荘」は広東省梅州市五華県転水鎮にあり、全国に2カ所しかない天然の鉱泥温泉で、リゾート地の一つです。この温泉は温度が83度~100度と高く、とても珍しい温泉です。

 

「泥風呂」の誘惑にかられ、私たちは小さな木の小屋にやって来ました。中に足を入れると熱気が顔に当たり、よく目を凝らすと、真っ黒な何てことのない二つの泥風呂があり、壁には今日の泥の温度は38度と書いてあります。泥沼に入ってみると、あっという間に全身に熱気が伝わるのがわかりました。初めは少し熱いと感じましたが、すぐに慣れました。

私たちは、ふんわりとやわらかいホカホカした鉱泥の上に横になりました。寝返りを打つと全身に鉱泥が塗りつけられたようになります。泥は温かくすべすべしていて、綿のようにやわらかく弾力性があります。その上に横になっていると沈もうと思っても沈めません。まるで無数の温かくやさしい手で身体をなでられているような気持ちです。

目をつぶって横になり、全身をリラックスさせ、これ以上ないと思われるほどの気持ち良さを味わいました。泥の温度は高めなので、長く入るとなかなか体力を消耗します。何分か経つと血が頭のてっぺんに昇っていくのがわかり、全身の力が抜けてきました。聞くところによると、この「泥風呂」は長く入るのはダメということなので、私たちは起き上がって、温泉のお湯で身体の泥を洗い流しました。

鉱泥風呂を出て、石段を上り、温泉の滝に到着。滝に背を向けて石段に腰掛けると、数メートルの高さの温泉が背中ではじけ、まるで熟練したマッサージ師に体をマッサージしてもらっているような感じです。ここの温泉は浮力が大きく、浅い湯船の中に座ると両足が自然に浮き上がります。

温かい温泉は全身を包み込み、母の胸に抱かれているような、大好きな人と横たわっているような、全身がけだるく、何も考えられず、誰とも話す気にもなりません。ただ時間がこのまま止まってくれることだけを願ってしまいます。今回、私は身にしみて本当のリラックスというものが何かがわかりました。

鉱泥温泉に入った後は、たくさん汗をかいたので、温泉の従業員のアドバイスどおりに、薄い塩水やお茶を飲んで電解質のバランスを取りました。私たちは温泉浴を終え、体の疲れをきれいさっぱり取り去り、元気いっぱいで帰途につきました。