天縁国際ホテルの「旅」~カシュガル~

新疆のカシュガルに着くと、荷物を天縁国際ホテルのロビーに置き、友人に誘われて街に出かけた。ホテルを出て道を一本過ぎると、そこは人民公園だ。緑がきれいでポプラの木が多く、緑の少ない南新疆とは思えない。ちょうど夜の9時で、空はまだ明るく、散歩の人でいっぱいだ。人々は三々五々ゆったりと歩いて、のんびりとしている。友人の話では、これがカシュガルのスローライフだという。

ウイグル族の人も漢族の人もいるし、外国人も多い。連れ立って歩いている人もいれば、互いに声を掛け合ったり、木の下で話し合ったりしている。数人の漢族とウイグル族、二人の外国人が中国語で親しく話しているのを目にした。ウイグル的な雰囲気が漂っているが、国際都市としての風格も備えている。人民公園はカシュガルの縮図だと、友人は話した。

私たちは美しい東湖まで歩いていった。ウイグル語、中国語、英語を耳にしながら、楽しそうな人々と水面の華やかな灯火と美しい満月を眺めた。そして、ホテルに戻った。

旅の乗り物とたそがれの散歩とで、私はひどく疲れを感じ、ロビーに気だるそうに座って手続きが終わるのを待っていた。すると、ホテルの支配人が近寄り、「ご旅行ですか」と水を持ってきてくれた。支配人と二言、三言話していると、従業員が部屋のカードと私の身分証を持ってきた。思いがけないサービスに少しびっくりした。ふと後ろを振りかえると荷物がなくなっている。「部屋の前に運んであります」と支配人が微笑みながら話した。

エレベータに乗ると、眼に入ったのは壁画のような絵で、イスラム情緒豊かな大きな門が描かれていて、ウイグル族特有の装飾が施されている。ホテルを建てた人は旅行者の気持ちがわかっている。ホテルはその地方を知る窓口でもある。

支配人の時峰さんがホテルを紹介してくれた。ホテルはカシュガル人民広場の西側にあり、スィ―トルーム、ツインルーム、シングルルーム、ビジネスルーム、プレジデントルームなど168部屋ある。

エイティガール清真寺、香妃の墓、人民公園、東湖などの名所から近く、カシュガルの景勝地として有名な高台民家はホテルの前にある。ホテルの窓から眺めれば、歴史の神秘と現代文明が互いに輝いて、観光客は出かけなくてもウイグル族の古い民家を見ることができる。

私の部屋はホテルの後ろ側で、高台民家を見ることはできないが、朝食の時、朝の光のなかで大きなガラス窓をとおして、遠くにたくさんの建築物の屋根や近くの美しい街道、まだらに映る樹の影を一望に収めることができる。

窓からカシュガルの景色を眺めながら、現地の風味豊かなヨーグルトを味わっていると、カシュガルにやって来た実感がわいてきた。

「夕食コース料理でもヨーグルトのような食べ物など民族色にあふれた食事をお客様に味わっていただきたいと思っています。仕事で立ち寄ったお客様にもカシュガルを少しでも多く楽しんでほしいです」。

支配人の話では、客が希望すれば、観光ガイドを出してカシュガルを案内するという。また時間がない客には、ホテルの従業員がホテルの中で見晴らしのよい場所に案内して、解説してくれるという。

ロビーの「空港待合室」のことを聞くと、

「これは私どもの特別なサービスで、ホテルのお客様はこのまま飛行機の搭乗手続きができます。お客様はホテルで飛行機のチケットを購入することができ、その後部屋で休んでいただき、搭乗手続きが完了するとカウンターから連絡が行きます。そして待合室で待っていただくと、空港行きのリムジンバスが定刻に到着して、そのバスで空港に行き安全検査を受けて搭乗します」と支配人は話した。

「ホテルを出なくても、カシュガルの旅ができますよ」と、支配人は話を続けた。「でも時間があるのでしたら、やはりホテルを中心にして、名所旧跡を回っていただきたいですね。ホテルはお客様の港のようなものです」。

ホテルの近くにある有名な香妃の墓