内モンゴル全域の専用観光列車開通

7月29日、内モンゴル自治区党委員会書記、胡春華の号令一下、内モンゴル初の全域観光専用豪華列車「草原の星」号がフホホト東駅を滑り出した。8月8日、列車は全行程を終え、フホホトに戻った。

10日間の行程中、ツアー客は内モンゴル全域の西はアルシャー盟エジン旗から東はわが国最大の陸路の国境地点・満洲里(マンチュリ)まで、往復7134キロを駆け抜け、砂漠、石林、草原、樹海、国境の街、ジンギスカン陵、奇観、宇宙基地を観光した。その中には国家教育基地2箇所、国家A級観光地31箇所、国家自然保護区3箇所、自治区歴史遺跡11箇所、無形文化遺産3件を含んでいる。

 神秘と広大な美を訪ねて

「草原の星」内モンゴル全域専用観光列車のサブチーフ添乗員、賈雪輝氏の紹介によると、今回のツアー行程は内モンゴルの景観スポットをほぼすべて網羅している。大昔の紅山文化から現代の宇宙基地、しなやかで美しい居延海から堂々たるホーチン草原、悠久の歴史を持つジンギスカン陵から風光明媚なアスハト石林、果てしなく広がるクブチ砂漠から勇壮なホロンバイル大草原……。行程のすべてが真珠のような輝きを見せており、「草原の星」内モンゴル全域専用観光列車はこれら一つ一つの真珠をつなぐ黄金ラインと言える。

専用列車はまずこのコース最初の停車駅、エジン旗に停車し、正装を身にまとったエジン旗の少数民族の出迎えを受ける。エジン旗滞在中、ツアー客は東風宇宙基地、西夏時代の黒水城(カラホト)、居延海、胡楊林などエジン旗の有名な景勝地を観光する。「ロケットの発射台を見て宇宙飛行の気分を感じるのが長年の夢だった」とツアー参加者の霍香萍さんは語る。

ツアー参加者は他にも胡楊怪樹林、黒水城、居延海などのスポットを観光する。「千年生き長らえ、朽ちても千年倒れず、倒れても千年腐らない神秘の生命を目の当たりにして、ある種のショックを感じ、それを抱きかかえて人生の紆余曲折を思い、生活の中の思うようにならない気分が雲散霧消してしまった」と多くの観光客が感慨にふけっていた。

このコース第2の停車駅オルドスでは、ツアー参加者は稀代の天の寵児、ジンギスカンの陵を見学し、ガイドの説明を聞いて英雄の才能と気迫を味わう。3番目に、列車は「この世で最も美しい」と称されるヘシグテン旗に停車し、ツアー客は国家4A級観光地であるダリ湖、草原の真珠、貢格爾草原と花崗岩が織り成す風景のアスハト石林の景観を観光するが、途中の自然風景は誰をも虜にする。

専用列車は最後にホロンバイル市に到着する。美しいホロン湖、雄大なマンチュリの国境ゲート、三国の風景が溶け合った人形広場、アジア第一の湿原である根河湿原、果てしなく広いホロンバイル大草原…。すべての風景が帰るのを忘れさせるほどだ。

 温かい和みの旅を体験

「草原の星」専用新型空調付き列車の車室内はじゅうたん、シーツ、掛け布団などの色や質もすべて最新の注意を払って選ばれたものが使われており、快適で柔らかく、また上品だ。

フホホト鉄路局副局長の王利銘氏は記者に、専用列車の設備はすべて、一級ブランド列車の基準に沿って配備されており、タブレットパソコンなども備えているほか、洗面所も改修されていると説明した。全行程の運行時間が長いことを考慮して、列車にはその他にも新聞や雑誌が備えられ、また列車の放送システムを利用して運行中に内モンゴルの風土や沿線の観光スポットを紹介するビデオなども流している。

ツアー客に食事の満足を与えるため、列車では1日3食、非常に凝った料理を提供しており、メニューも毎日異なっている。フホホト鉄路局包頭旅客区の区長助理、倪民有氏は記者に「専用列車は料理が豊富で、顧客に非常に喜ばれている」と語っている。

専用列車がエジン旗に着いたのは夏の盛りであり、ゴビ砂漠が熱烈ともいえる暑さで観光客を歓迎してくれるため、専用列車では乗務員が乗客のために適宜暑さ対策の薬品も提供する。列車に乗務している張秀娟医師は記者に「旅行中に発症しやすい暑気当たり、アレルギー、胃腸や風邪などの症状に備えて、列車には医薬品を用意してあるほか、血圧計や心電図などの救急設備もあり、健康な旅ができるよう準備している」と説明してくれた。

「一路風光、一路歌」とも形容できる専用列車の旅は至れり尽くせりで、同じ列車に集うツアー客たちは楽しく愉快に過ごしながら互いに親睦を深めていく。鉄道部門ではまた、職員で組織した芸術団を乗車させ、旅客に豊富で多彩な文芸プログラムを提供し、色濃い民族風情を顧客に味わってもらっている。中鉄文工団の漫才師の演目は乗客を笑いの渦に巻き込み、車外が夜の帳に包まれても楽しさは尽きることがない。

 観光発展の橋を架ける

10日間の行程で「草原の星」は西部の砂漠奥深くの胡楊林から東部国境のアルグン川まで駆け抜け、まるで一条の美しい虹のように内モンゴルの東西を貫き、その神秘をツアー客に堪能させる。

これまでも道路や空港はあったが、ただし一度の旅行で内モンゴルのすべてを観光することはほとんど不可能だった。「内モンゴルは東西の直線距離が2400キロもあり、南北も1700キロあって、日の出の時刻も西と東では2時間の差がある。地域の広大さは観光資源の多様性につながるが、これまでは東西に長い地理的条件が旅行産業発展の制約になっていた」。内モンゴル自治区旅游局副局長の馬永勝氏はそう紹介している。

そのため、フホホト鉄路局と内モンゴル旅游局が緊密に連携し、全域の12の盟、市をカバーする専用観光列車を運行することになった。このような1回で全域をカバーする観光列車の運行は、内モンゴル東西の観光資源を一体化し、東北から華北、西北にまでまたがる広大な内モンゴルに旅行鉄道の大動脈を架けることになり、10日で内モンゴル全域を巡ることが夢でなくなったのである。