翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その47

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、暗号資産に関する勧誘及び広告などの関係の自主規則として、「暗号資産交換業に係る勧誘及び広告等に関する規則」を規定しております。

今回は認定協会の当該「暗号資産交換業に係る勧誘及び広告等に関する規則」(以下「勧誘・広告規則」という)を紹介します。

 

勧誘の基本姿勢

「勧誘・広告規則」第2条によると、会員は、取引の勧誘に際して、利用者保護の精神に則り、取引の信義則を遵守し、品位の保持を図るために、利用者に対して的確な情報を提供しなければなりません。また、会員は、利用者の知識、経験、財産の状況、年齢及び暗号資産関連取引に係る契約を締結する目的やリスク管理判断能力等を慎重に勘案し、利用者の意向と実情に即した取引の勧誘を行わなければなりません。会員は、取引の勧誘に際しては、自己の判断及び責任で取引を実施すべきことを、利用者に対して適切に理解させなければなりません。

さらに、会員及びその役職員は、暗号資産交換業者以外の者に、会員のために、利用者に対して暗号資産関連取引の勧誘を行わせてはなりません。

 

広告宣伝などの基本姿勢

「勧誘・広告規則」第15条によると、会員は、広告又は景品類の提供を行う場合には、利用者保護の精神に則り、取引の信義則を遵守し、品位の保持を図らなければならず、会員は、広告の内容に関し、的確な情報をもって、明瞭かつ正確に表示しなければなりません。また、会員は、実施する広告又は景品類の提供が本規則に反することが明らかとなった場合には、速やかに、「勧誘・広告規則」に則した取扱いとするために必要な措置を取らなければならず、過去に実施した広告又は配布した景品類についても、その回収に努めなければなりません。

また、会員は、リスクアセスメントの結果及び上記による低減後のリスクを用いて情報の安全管理の仕組みに期待された成果との差異を特定し、当該仕組みの適切性、妥当性、有効性を検証しなければなりません。

さらに、禁止行為としては、会員は、公序良俗に照らして不適切な場所等(インターネット上のホームページなど広告の内容を伝達するための一切の手段を含む。)及び時間を利用して広告を行ってはならず、会員は、利用者の射幸心又は競争心を煽ることを目的として、広告又は景品類の提供を行ってはならなりません。会員は、特定の暗号資産に係る暗号資産関連取引を過度に推奨する目的をもって、広告及び景品類の提供を行ってはならず、会員は、その行う暗号資産交換業に関して広告をするに際し、支払手段として利用する目的ではなく、専ら利益を図る目的で暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換を行うことを助長するような表示をする行為をしてはなりません。また、会員は、景品類を提供する場合には、不正競争防止法及びその関連法規に従い、会員間の公正な競争環境を乱すことなく、これを実施しなければなりません。

次回へ続く