翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その43

 

一般社団法人日本暗号資産取引業協会 ( 以下「認定協会」という) は、暗号資産に関する利用者財産管理・システム安全管理等の関係の自主規則として、「暗号資産交換業に係る利用者財産の管理等に関する規則・ガイドライン、「暗号資産交換業に係るシステムリスク管理に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る緊急時対応に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る情報の安全管理に関する規則・ガイドライン」などの4つの規則・ガイドラインを規定しております。

今回は「暗号資産交換業に係る利用者財産の管理等に関する規則・ガイドライン」(以下「利用者財産管理規則」という)を紹介します。

 

●利用者財産管理に関する社内規則

認定協会の会員は、暗号資産交換業に係る取引に関し利用者から預託される金銭又は暗号資産(契約により会員が消費できる暗号資産を除く。以下「利用者財産」という。) を、資金決済法、暗号資産交換業に関する内閣府令、その他関連法令等に定める内容に従い、自己の金銭又は暗号資産と分別して管理しなければなりません。

「利用者財産管理規則」第3条によると、会員は、分別管理業務に関する社内規則を定めなければならず、社内規則は、次の各号に掲げる事項を含むものとします。

(1) 分別管理業務の執行方法及び手続きの詳細に関する事項

(2) 分別管理業務に係る業務記録の作成及び保存に関する事項

(3) 分別管理業務の職務分掌に関する事項

(4) 分別管理業務の各担当者における事務マニュアルの整備に関する事項

(5) 残高の不一致その他不適切な状況発生時の対処方法に関する事項

(6) 残高の不一致その他不適切な状況発生時における取締役会その他これに準

ずる意思決定機関への報告に関する事項

(7) 分別管理業務に関する内部監査及び外部監査に関する事項

(8) 暗号資産の分別管理業務を第三者に委託する場合には当該第三者による分別管理業務の検証に関する事項

 

●利用者の周知

「利用者財産管理規則」第15条によると、会員は、具体的な秘密鍵の保管環境、保管方針その他分別管理対象暗号資産の流出等のリスクを低減するために講じている措置、分別管理対象暗号資産の流出等を検知するための措置及び流出等を検知した場合の対応措置の概要を、自社のホームページ等に掲載する方法により、利用者に対して周知しなければなりません。ただし、周知することにより利用者保護が図られないおそれがある情報についてはこの限りではありません。

また、「利用者財産管理規則」において、金銭の分別管理、暗号資産の分別管理、流出等のリスクへの対応などを詳細に定めています。

次回へ続く