翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その42

 

一般社団法人日本暗号資産取引業協会は、暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則として、「暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン」、「暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る財務管理に関する規則・ガイドライン」などの8つの規則・ガイドラインを規定しております。

今回は「暗号資産交換業に係る財務管理に関する規則・ガイドライン」(以下「財務管理規則」という)に関する「財務健全性指数の算定に関する細則」の詳細を紹介します。

 

固定化されていない自己資本の額

「財務管理規則」によると、固定化されていない自己資本の額とは、資本金、準備金その他「金融商品取引業等に関する内閣府令」(平成19年内閣府令第52 号)(以下「金商業府令」という。)176条1項各号に掲げるもの及び協会が別に定めるものの額の合計額から、貸借対照表の科目その他のもので金商業府令177 条1項各号に掲げるものの額の合計額を控除した額をいいます。

ちなみに、上記の「財務管理規則」に規定する協会が別に定めるものは、次の各号に掲げるものとします。

(1)親法人等(金融商品取引法施行令第15条の16第1項に定義されるもの。以 下同じ。)及び会員の総株主等の議決権の百分の二十を超える議決権を保有する個人(以下「個人株主」という。)からの借入金(親法人等及び個人株主に対する元利金の支払が他の債権者に対する支払に劣後することに合意する旨の親法 人等及び個人株主の意思が書面(契約書、稟議書、決裁書、取締役会等の議事録など)により合理的に確認できるものに限る。)

(2)会員が発行し親法人等及び個人株主が保有する社債(親法人等及び個人株主 に対する元利金の支払が他の債権者に対する支払に劣後することに合意する旨 の親法人等及び個人株主の意思が書面(契約書、稟議書、決裁書、取締役会等の議事録など)により合理的に確認できるものに限る。)

また、上記の「財務管理規則」に規定する協会が別に定めるものの合計額は、基本的項目(金商業府令第百七十六条第一項第一号から第六号までに掲げるものの額の合計額)の100%を限度とします。

 

市場リスク相当額

「財務管理規則」において、市場リスク相当額とは、市場リスクに相当する額として、「金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める件」(平成19年金融庁告示第59号。(令和 2 年金融庁告示22号に基づく改正その他すべての改正を含む。)以下「告示」という。)第三章の規定に協会が別に定める修正を施した方法により算出した額を加えた額をいいます。

また、上記の「財務管理規則」に規定する協会が別に定める修正は、次に掲げるものとします。

(1) 告示第9条の2第1項に定める比率は、協会が別途会員に通知する比率(以下「暗号資産リスク・ウェイト」という。)とします。

(2) 協会は、暗号資産リスク・ウェイトを年に一度見直すものとします。

(3() 協会は、市場動向等の急激な変化により暗号資産リスク・ウェイトが実態を反映していないと認める場合は、適時に暗号資産リスク・ウェイトを見直すことができます。

次回へ続く