翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その39

一般社団法人日本暗号資産取引業協会は、暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則として、「暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン」 、「暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る利用者の管理及び説明に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン」などの8つの規則・ガイドラインを規定しております。

 

今回は「暗号資産交換業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン」の詳細を紹介します。

 

利用者による不公正取引の防止

当該規則第3条(社内規則の制定)によると、会員は、不公正取引の防止に関して、以下の事項について規定した社内規則を定めなければなりません。

(1) 不公正取引の類型に関する事項

(2) 取引審査の業務を担当する部門並びにその権限及び責任に関する事項

(3) 利用者の取引動向及び取引動機等の的確な把握に関する事項

(4) 取引審査を行うに当たり参考とすべき情報に関する事項

(5) 取引審査の対象となる利用者又は取引の抽出に関する事項

(6) 取引審査の方法及び判断に関する事項

(7) 取引審査の結果に基づく措置に関する事項

(8) その他必要と認められる事項

 

会員による不公正取引の防止

当該規則第19条 (自己計算取引についての体制整備)によると、会員は、役職員及び自己の計算により行う暗号資産交換業に係る取引について、 不公正取引又は禁止行為を行わないように、社内規則の制定、適切な情報管理、取引の監視、役職員への指導及び教育の徹底等の必要な措置を講じるものとし、かかる措置の実施状況を定期的に点検しなければなりません。ただし、禁止行為のうち、関係法令に掲げる行為を防止するための措置については、「暗号資産交換業に係る暗号資産関係情報の管理に関する規則」の定めるところに従うものとし、かかる措置の実施状況を本条に基づき点検するものとます。

また、会員は、関係規定に基づく点検の結果、会員又は役職員による不公正取引又は禁止行為が判明した場合には、直ちに取締役会その他これに準ずる意思決定機関に報告するものとし、当該意思決定機関の関与の下、再発防止策その他必要な措置を講じるものとします。

                              次回へ続く