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日本の暗号資産に関する法制度ガイド その38

一般社団法人日本暗号資産取引業協会は、暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則として、「暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン」、「暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る利用者の管理及び説明に関する規則・ガイドライン」、「暗号資産交換業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン」などの8つの規則・ガイドラインを規定しております。

今回は「暗号資産交換業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン 」の詳細を紹介します。

社内規則の整備

当該規則第2条によると、会員は、取引の受注管理に関して、次の各号に掲げる事項について規定した社内規則を定めなければなりません。

(1) 利用者による不公正取引に該当し得る注文の排除に関する事項

(2) 役職員による不公正取引に該当し得る注文受付及び約定処理の排除に関する事項

(3) 取引の決済代金又は決済に用いる暗号資産の受領に関する事項

(4) 注文受付時における注文内容の確認に関する事項

(5) 注文の受発注制限に関する事項

(6) 注文の受発注制限の解除に関する事項

(7) 表示価格及び約定価格の生成等に関する事項

(8) 約定処理に関する事項

(9) 受注管理に関する業務に係る適切な人員配置及び研修等に関する事項

(10) 受注管理体制の監査に関する事項

(11) その他会員が必要と認める事項

●注文の受付

当該規則第7条、第8条では、会員は利用者からの取引の注文を受け付ける営業日及び営業時間を定め、利用者に周知しなければならず、会員は、営業日又は営業時間に営業を休止する場合には、あらかじめ利用者にその日時を周知しなければならないことを定め、会員は、関係規定に従い、電気通信回線に接続している電子計算機を利用して利用者から注文を受け付ける場合には、当該注文の内容を、利用者が当該注文に係る電子計算機の操作を行う際に容易に確認し、かつ訂正できるように、利用者の取引環境を整備しなければならないことも定めています。

さらに、会員は、自己の取引の注文及び利用者からの注文を記録した注文伝票(電磁的記録によるものを含む。以下同じ。)を作成し、7 年間これを保管しなければなりません。会員は、当該注文伝票には、関係規定に掲げる事項を注文伝票に記録しなければならず、会員は、電子情報機器を介して自動的に受発注する仕組みを用いる場合には、可能な限り最少の時間単位をもって受発注時刻を記録し、注文伝票としてそのデータを保管しなければなりません。

次回へ続く