翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その36

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という。)は、暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則として、 暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン、新規暗号資産の販売に関する規則・ガイドライン、暗号資産信用取引に関する規則・ガイドラインなど8つの規則・ガイドラインを規定しております。

今回は「暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン」の詳細を紹介します。

●業務開始の届出

「暗号資産の信用取引に関する規則・ガイドライン」第2条によると、暗号資産信用取引を行う場合には、次の各号に掲げる書面を、あらかじめ協会に提出しなければなりません。

(1) 暗号資産信用取引を開始する旨及び開始予定日、信用取引の対象となる暗号資産(以下「対象暗号資産」という。)、保証金率その他利用者との取引方法及び取引条件を記した書面

(2) 暗号資産信用取引の業務方法を記した書面

(3) 暗号資産信用取引により生ずる財務上のリスクの分析結果を記した書面

(4) 暗号資産信用取引により生ずる財務上のリスクの管理方法を記した書面

(5) 対象暗号資産の市場規模及び流動性を分析し、顧客に対する安定的なサービスの提供のための体制を検討した資料

(6) 対象暗号資産の過去の価格変動及び取引量の推移に関する資料

(7) 保証金率、ロスカット取引を実施する基準の決定に関する資料

(8) 暗号資産信用取引に伴い利用者に交付する書面

(9) 暗号資産信用取引に関する広告の写し

(10) 利用者による不公正取引を防止するための体制整備に関する資料

(11) その他協会が提出を求める書面又は資料

また、会員は、対象暗号資産を追加する場合には、前項第3号から第10号までの書面を、あらかじめ協会に提出しなりません。

●体制整備

「暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン 」第12条によると、会員は、利用者を相手方として行う暗号資産信用取引又はその媒介、取次ぎ若しくは代理を行うにあたっては、当該規則の内容が網羅された社内規程を制定の上、 当該社内規程の内容を適正かつ確実に履行できる体制を整備しなければなりません。

さらに、会員は、当該規則に基づいて整備された体制の運用状況について、定期的に点検を行わなければならず、会員は、当該規則に基づく点検結果は、速やかに取締役会その他これに準ずる意思決定機関に対して報告しなければなりません。

次回へ続く