翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その35

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則として、暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン、 新規暗号資産の販売に関する規則・ガイドライン、暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン、暗号資産交換業に係る利用者の管理及び説明に関する規則・ガイドライン、暗号資産交換業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン、暗号資産交換業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン、暗号資産交換業に係る暗号資産関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドライン、 暗号資産交換業に係る財務管理に関する規則・ガイドラインという8つの規則・ガイドラインを規定しております。

前回は「暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン」の詳細を紹介しましたが、今回は「新規暗号資産の販売に関する規則・ガイドライン」の詳細を紹介します。

 

●対象事業の審査

「新規暗号資産の販売に関する規則・ガイドライン」第4条によると、会員は、自己販売業務を行うにあたっては、対象事業に適格性、実現可能性及び持続可能性(以下「実現可能性等」という。)が認められることについて、次の審査項目(以下「対象事業審査項目」という。)に基づいて自ら審査するものとし、かかる審査に必要な体制を整備しなければなりません。

(1) 発行者の健全性及び独立性

関連当事者との取引の必要性及び取引条件の妥当性

親会社等からの独立性

関係会社の管理の適切性

(2)発行者のガバナンス及び内部管理体制の状況

機関設計の妥当性

代表取締役、取締役及び取締役会その他これに準ずる意思決定機関の責任遂行の状況

監査役及び監査役会の責任遂行並びに内部監査機能の状況

内部管理体制の運用状況及び牽制機能

法令等遵守の状況

(3) 発行者の財政状態及び資金繰り状況の健全性

(4)対象事業の適格性

対象事業の適法性及び社会性

新規暗号資産の販売を資金調達手段とすることの適格性

(5) 対象事業の遂行のために必要な体制

対象事業の遂行に必要となる許認可等の取得の状況

対象事業の遂行に必要となる知的財産権の保護の状況及び他者による権利侵害の状況

対象事業の遂行に必要となる重要な契約の締結状況及び権利の確保の状況

対象事業の遂行のために必要となる人員の確保の状況

業績管理の状況

(6) 対象事業の見通し

事業計画の合理性

対象事業の技術的な実現可能性

対象事業の成長性及び安定性

(7) 調達資金の使途の妥当性

(8) その他会員が必要と認める事項

次回へ続く