翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイドその34

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、「 資金決済に関する法律に関する自主規制規則」として、業務取り扱い関係、利用者財産管理・システム安全管理等、勧誘・広告、AML/CFT・反社会的勢力対応、損失補填等の禁止・事故確認申請、苦情・紛争解決、従業員服務という7つの分野において、合計20つの自主規則を規定しております。

今回から暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則の詳細を紹介します。

 

●業務取り扱い関係の自主規則の構成

暗号資産に関する業務取り扱い関係の自主規則としては、以下の規則・ガイドラインが規定されております。

・ 暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン

・ 新規暗号資産の販売に関する規則・ガイドライン

・ 暗号資産信用取引に関する規則・ガイドライン

・ 暗号資産交換業に係る利用者の管理及び説明に関する規則・ガイドライン

・ 暗号資産交換業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン

・ 暗号資産交換業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン

・ 暗号資産交換業に係る暗号資産関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドライン

・ 暗号資産交換業に係る財務管理に関する規則・ガイドライン

 

●「暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン」と事前届出義務

「暗号資産の取り扱いに関する規則・ガイドライン 」(以下「取り扱いガイドライン」という)第 5条によると、会員は、新たな暗号資産の取り扱いを開始する場合には、認定協会に対して、次の書類を事前に届出なければなりません。

(1)認定協会が別に作成する審査報告書

(2)認定協会が別に作成する当該暗号資産の概要説明書(以下「概要説明書」という。)

(3)当該暗号資産に関して利用者に開示・提供する資料等

(4)当該暗号資産に係るホワイトペーパーその他当該暗号資産の内容を説明した資料

(5)当該暗号資産の流通状況に関する資料(流通実績がある場合に限る。)

(6)当該暗号資産に関連する事件・事故に関する資料

(7)当該暗号資産の管理に関する社内規則や事務マニュアル等を記した書面

(8)当該暗号資産の管理に関する社内検証を行った資料

(9)当該暗号資産を取り扱う暗号資産の売買等の概要書

(10)概要説明書を作成・管理する者の氏名、役職、所属部署、経歴、連絡方法を記した書面

(11)当該暗号資産の管理者等の関係者の反社会的勢力との関係性その他マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の関連性について社内検証を行った資料

(12)その他認定協会が提出を求める書面又は資料

ちなみに、「取り扱いガイドライン」において、事前届出の手続きのほかに取り扱い審査体制、新規取り扱い、取り扱い開始後の対応、取り扱い中止等の規則・ガイドラインが詳細に規定されております。

次回は認定協会の「 資金決済に関する法律に関する自主規制規則」の詳細を7つの分野ごとに引き続き説明します。

(次回へ続く)