翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その30

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、「定款施行規則」、「自主規制規則定義集」、「暗号資産取引業協会自主規制基本指針」、「監査規則」、「会員における倫理コードの保有及び遵守に関する規則」、「 意見公募手続の実施に関する規則」、「会員の資格及び届出に関する規則」、「入会金及び会費に関する規程」、「無登録業者等に係る情報等の報告に関する規則」、「情報公開規程」などの基本規則を規定しております。

今回は「監査規則」の詳細を紹介します。

「監査規則」と実施方法

「監査規則」第3条によると、監査は、会員の営業所又は事務所において行う実地監査及び会員から認定協会に提出する書類に基づき行う書類監査とします。監査を行う場合は、会員に対し、あらかじめ監査の日時、実施方法及び監査員の氏名等を通知するものとしますが、事務局長が必要と認めるときは、その通知をしないことができます。

ちなみに、監査員は、会員に対し、監査事項に関係のある帳簿書類その他の物件の提示、閲覧若しくは資料の提出又は事実の説明を要求することができます。

「監査規則」と守秘義務など

「監査規則」第6条によると、監査員は、以下の事項を遵守しなければなりません。

(1) 監査に当たっては、常に穏健、冷静な態度を保持し、品位と信用を保つこと。

(2) 監査は、全て事実に基づいて能率的に行うとともに、事実の認定、意見の表明を行うに当たっては、常に公正であること。

(3) 職務上知り得た事項を、正当な事由なく他に漏らさないこと。

また、監査員は、監査で把握した業務運営状況等について、当該会員との間で事実認識を確認するものとし、その監査の結果を、会長に対して書面により報告し、決裁を受けなければなりません。

認定協会は、監査の結果に基づき、会員に対し事項を定めてその処理に関する報告書の提出を求めることができます。規定どおりに報告を求められた場合には、当該会員は、認定協会の指定する期日までにその処理に関する報告書を協会に提出しなければなりません。

次回は認定協会のほかの基本規則の詳細を紹介します。

(次回へ続く)