翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その26

2019 年 5 月 31 日に「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第 28 号、以下「改正法」 という。)が成立し、同年 6 月 7 日に公布されました。改正法は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとされています。

2020年4月24日に、認定協会である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会は改正法に基づき、認定協会の定款施行規則、業務規程及び自主規制規則の改正及び制定を行いました。今回は改正法の趣旨、認定協会の定款施行規則、業務規程及び自主規制規則の改正及び制定等を紹介します。

●改正法の趣旨

改正法の施行に伴い、「仮想通貨」の名称が「暗号資産」に変更されます。

また、改正法に基づく資金決済法の一部改正により、暗号資産交換業者に対し、顧客の暗号資産を原則としてコールドウォレット等で管理することの義務付け、それ以外の方法で管理する場合における見合いの弁済原資(同種同量の暗号資産)保持の義務付け、広告勧誘規制の整備がなされる等、法令上の規制内容が大幅に拡充されました。これらの改正に伴い、認定協会の自主規制規則を改正します。

これに加えて、改正法に基づく金融商品取行法の一部改正により、暗号資産を用いたデリバティブ取引について、外国為替証拠金取引(FX 取引)と同様に、金融商品取引法上の規制が整備されます。

●認定協会の名称変更

認定協会の名称について、改正法において「仮想通貨」が「暗号資産」に呼称が改められたこと、暗号資産関連デリバティブ取引業が金融商品取引法上の規制の対象となったことに伴い、認定協会である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会は2020年5月1日付で定款変更を行い、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(Japan Virtual and Crypto assets Exchange Association)に変更しました。

●認定協会の定款施行規則、

業務規程及び自主規制規則

の改正及び制定

認定協会は改正法に対応するため、パブリックコメント手続を実施した定款の変更に加え、定款施行規則の改正及び業務規程の制定、資金決済法に基づく自主規制規則の改正及び改正法の上記の趣旨に従い、以下の3つの方面において定款施行規則等の改正及び制定を行いました。

基本規則

資金決済に関する法律関連自主規制規則

金融商品取引法関連自主規制規則

次回からはこれらの改正及び制定した新規則の詳細を紹介します。また、次回から本連載を「日本の暗号資産に関する法制度ガイド」に変更します。

(次回へ続く)