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日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その25

今回は「会員における倫理コードの保有及び遵守に関する規則」(以下「規則」という。)を紹介します。この規則は目的、倫理コードの保有、提出、報告及び説明義務などの計6条により構成されます。

規則の目的

この規則、会員が、新たな資金決済サービスの担い手として、社会的責務を負っていることを十分に認識するとともに、国民から信頼されるための健全な社会常識及び倫理感覚を常に保持するほか、求められる専門性への対応及び役職員の倫理の保持に必要な措置を講じ、業務の執行の公正さに対する社会からの疑惑又は不信を招く行為の防止を図り、もって会員が担う社会的使命及び役割に係る自己規律の維持及び向上により、新たな資金決済サービスに対する信頼を確保することを目的とします。

倫理コードの保有及び提出

この規則の第2条によると、会員は、仮想通貨関連取引に係る業務について、当該会員が取り扱う仮想通貨及び仮想通貨関連取引に応じた倫理規範又はそれと同趣旨の規定(以下「倫理コード」という。)を保有するものとします。

また、この規則の第3条によると、会員は、第2条に基づき保有する倫理コードについて、(1)当該倫理コードの全文、または(2)当該倫理コードを公表している場合には、その旨並びに公表方法及び閲覧方法を記載した報告書、のいずれかを協会に提出しなければなりません。会員は、倫理コードを変更した場合には、前項第1号に掲げるものを協会に提出しているときは、当該変更後の倫理コードの内容を、前項第2号に掲げる報告書を協会に提出しているときは、当該変更した旨(公表方法又は閲覧方法を変更した場合には、変更後の公表方法又は閲覧方法を含む。)を記載した報告書を、遅滞なく、協会に提出しなければなりません。

報告及び説明義務

この規則の第4条によると、会員は、関連法令等に直接定めはないものの倫理コードに照らして望ましくないものであると判断する事案又は望ましくないものに発展するおそれがあると判断する事案について、自主的に協会に報告するものとします。

また、協会が会員の行動及び慣行に関する事案の発生及び存在を把握した場合(前項による報告を受けた場合を含む。)で、当該事案が関連法令等に直接定めはないものの倫理コードに照らして協会が望ましくないものであると判断するとき又は望ましくないものに発展するおそれがあると判断するときは、当該事案(以下「重大な事案」という。)に関係する会員に対し、説明を求めることができます。ちなみに、会員は、前項に基づき、協会から重大な事案に係る説明を求められた場合には、 法令及び行政当局等公的機関による命令等に反しない範囲で速やかに説明しなければなりません。

社内体制の整備

会員は、倫理コードを新たに策定又は変更する場合には、取締役会その他これに準ずる意思決定機関の決議により行わなければなりません。会員は、倫理コードの実効性を確保するため、運用管理の責任者の設置、役職員に対する教育及び研修の実施並びに違反があった場合の対応等、会員において必要と認める社内体制の整備を行うものとします。

(次回へ続く)