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日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その24

今回は「会員調査に関する規則」(以下「規則」という。)を紹介します。この規則は目的、調査の実施方法、調査員の権限などの計11条により構成されます。

規則の目的

この規則は、会員が行う仮想通貨関連取引に係る業務に対し、協会が行う調査(法若しくは法に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は定款その他の規則の遵守状況並びに仮想通貨関連取引に係る業務の状況若しくは財産の状況若しくはこれらの帳簿書類その他の物件の調査をいう。以下同じ。)に関して必要な事項を定めることを目的とします。

調査の実施方法

この規則の第3条によると、調査は、正会員の営業所又は事務所において行う実地調査及び正会員から協会に提出する書類に基づき行う書類調査とします。また、調査を行う場合は、正会員に対し、あらかじめ調査の日時、実施方法及び調査員の氏名等を通知するものとしますが、事務局長が必要と認めるときは、その通知をしないことができます。

調査員の権限

この規則の第5条によると、調査員は、正会員に対し、調査事項に関係のある帳簿書類その他の物件の提示、閲覧若しくは資料の提出又は事実の説明を要求することができます。

また、調査員は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければなりません。

(1)調査に当たっては、常に穏健、冷静な態度を保持し、品位と信用を保つこと。

(2)調査は、全て事実に基づいて能率的に行うとともに、事実の認定、意見表明を行うに当たっては、常に公正であること。

(3)職務上知り得た事項を、正当な事由なく他に漏らさないこと。

ちなみに、調査員は、調査の着手に当たり、正会員に別紙様式による調査員証を提示するものとし、調査で把握した業務運営状況等について、当該正会員との間で事実認識を確認するものとします。

調査結果の報告

調査員は、調査の結果を、会長に対して書面により報告し、決裁を受けなければなりません。協会は、会長の決裁を受けた調査結果を、当該正会員に対して書面により通知し、調査の結果に基づき、正会員に対し事項を定めてその処理に関する報告書の提出を求めることができます。この規則の規定による報告を求められた場合には、当該正会員は、協会の指定する期日までにその処理に関する報告書を協会に提出しなければなりません。

(次回へ続く)