翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイドそ の22

 

今回は「反社会的勢力との関係遮断に関する規則」の要点を紹介します。この規則は目的、定義、通則、協会及び警察等との連携・協力などという計13条により構成されます。

規則の目的

この規則は、反社会的勢力(規則第2条に定める意味をいう。)との関係の遮断に関し、必要な事項を定め、会員の健全な業務の遂行の確保及び反社会的勢力の仮想通貨関連取引からの排除を図り、もって業務の健全な発展及び利用者の保護に資することを目的とします。

反社会的勢力の定義

この規則の第2条によると、反社会的勢力は次の各号に掲げる者をいいます。
暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。)

暴力団員(暴対法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。)

暴力団準構成員(暴力団員以外の暴力団と関係を有する者であって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等(暴対法第2条第1号に規定する暴力的不法行為等をいう。以下この条において同じ。)を行うおそれがある者、又は暴力団若しくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力する者のうち暴力団員以外のものをいう。)

暴力団関係企業(暴力団員が実質的にその経営に関与している企業、暴力団準構成員若しくは元暴力団員が経営する企業であって暴力団に資金 提供を行うなど暴力団の維持若しくは運営に積極的に協力し、若しくは関与するもの又は業務の遂行等において積極的に暴力団を利用し暴力団 の維持若しくは運営に協力している企業をいう。)

総会屋等(総会屋、会社ゴロ等企業等を対象に不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。)

社会運動等標ぼうゴロ(社会運動若しくは政治活動を仮装し、又は標ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。)

特殊知能暴力集団等(イからヘまでに掲げる者以外のものであって、暴力団との関係を背景に、その威力を用い、又は暴力団と資金的なつながりを有し、構造的な不正の中核となっている集団又は個人をいう。)

その他前各号に準ずる者

次の各号のいずれかに該当する者

a. 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有する者

b. 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有する者

c. 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有する者

d. 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有する者

e. 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有する者

関係遮断の原則

この規則第3条によると、会員は、原則として、相手方が反社会的勢力であることを知りながら、当該相手方との間で仮想通貨関連取引を行ってはならず、会員は、相手方が反社会的勢力であることを知りながら、当該相手方への資金の提供その他便宜の供与を行ってはなりません。

協会及び警察等との連携・協力

この規則によると、会員は、反社会的勢力との関係の遮断に関し、協会及び警察その他関係機関と連携及び協力するよう努めなければなりません。
会員は、反社会的勢力との間で紛争が生じた場合には、弁護士又は協会、警察 その他の関係機関に速やかに連絡又は相談するなどにより、反社会的勢力による行為の被害の発生を防止するよう努めなければなりません。

(次回へ続く)