翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その19

 

今回は「仮想通貨関係情報の管理体制の整備に関する規則」の要点を紹介します。この規則は総則、仮想通貨関係情報の管理、禁止事項、利用者管理などという計4章16条により構成されます。

規則の目的

この規則は、会員が業務上取得する重要な情報に関して、当該情報を利用した不適正な取引を防止するため、社内規則の制定その他の必要な措置を定めることにより、会員における仮想通貨関係情報の管理態勢等の整備を図るとともに、会員が取り扱う仮想通貨の内部関係者のみが知り得る重要な情報を利用した不適正な取引を未然に防止することによって、もって、仮想通貨市場の公正性及び利用者保護を図ることを目的とします。

社内規則の制定

この規則の第4条 によると、会員は、その業務に関して取得した仮想通貨関係情報の管理に関し、その情報を利用した不適正取引が行われないよう、次の各号に掲げる事項について規定した社内規則を定めなければなりません。

(1) 仮想通貨関係情報を取得した際の手続に関する事項

(2) 仮想通貨関係情報を取得した者における情報管理手続に関する事項

(3) 情報管理部門の明確化及びその情報管理手続に関する事項

(4) 仮想通貨関係情報の伝達手続に関する事項

(5) 仮想通貨関係情報の消滅又は抹消手続に関する事項

(6) 禁止行為に関する事項

(7) その他会員が必要と認める事項

また、会員は、前項に定める社内規則及び本規則の内容を遵守し、適正かつ確実に情報管理業務を実施できる体制を構築しなければなりません。

仮想通貨関係情報の管理

この規則第6条によると、会員は、その業務に関して取得した仮想通貨関係情報を管理するための記録簿を作成し、保管しなければなりません。会員は、その業務に関して取得した仮想通貨関係情報が記載された書類について、他の部門から隔離して管理する等、当該仮想通貨関係情報が業務上不必要な役職員に伝わらないよう管理しなければなりません。

さらに、会員は、その業務に関して取得した仮想通貨関係情報が記載された 電子ファイルについて、容易に閲覧できない方法をとる等、当該仮想 通貨関係情報が業務上不必要な部門に伝わらないよう管理しなければなりません。

禁止行為

この規則によると、会員の役職員は、仮想通貨関係情報について不正な情報追求や詮索を行ってはならず、会員の役職員は、仮想通貨関係情報について不正な情報追求や詮索を受けたときは、回答してはなりません。会員の役職員は、前項の追求や詮索を受けた場合は、速やかに情報管理部門に報告しなければなりません。

また、会員の役職員は、利用者に対して仮想通貨関係情報を提供又は利用して、仮想通貨関連取引の勧誘をしてはなりません。員は、その業務に関して取得した仮想通貨関係情報を利用して、 自己の計算において仮想通貨関連取引を行ってはならず、会員の役職員は、その者の職務に関して知った仮想通貨関係情報を利用して、自己の計算において仮想通貨関連取引を行ってはなりません。

次回へ続く