翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その17

今回は「受注管理体制の整備に関する規則」の要点を紹介します。この規則は総則、体制の整備、注文受付、約定処理、取引価格、注文受付等の停止、禁止行為などという計7章27条により構成されます。

規則の目的

この規則は、会員における仮想通貨の売買等及びその他の仮想通貨関連取引の利用者からの注文受付及び約定処理(以下、これらを総称して「受注管理」という。) に関し、適正な業務運営を行うために必要な事項を定めることにより、会員における受注管理の実施に係る体制(以下「受注管理体制」という。)の整備を図ることを目的とします。

社内規則の制定

この規則の第2条 によると、会員は、取引の受注管理に関して、次の各号に掲げる事項について規定した社内規則を定めなければなりません。

(1) 利用者による不適切な注文の排除に関する事項

(2) 役職員による不適切な注文受付及び約定処理の排除に関する事項

(3) 取引の決済代金又は決済に用いる仮想通貨の受領に関する事項

(4) 注文受付時における注文内容の確認に関する事項

(5) 注文の受発注制限に関する事項

(6) 注文の受発注制限の解除に関する事項

(7) 表示価格及び約定価格の生成等に関する事項

(8) 約定処理に関する事項

(9) 受注管理に関する業務(以下「受注管理業務」という。)に係る適切な人員配置及び研修等に関する事項

(10)受注管理体制の監査に関する事項

(11) その他会員が必要と認める事項

禁止行為

この規則によると、会員は、利用者が本人以外の名義を使用していることを知りながら、当該利用者からの注文を受け付けてはならず、会員は、利用者以外の者が利用者になりすまして取引の注文を行うことを防止するための措置を講じなければなりません。

また、会員及びその役職員は、取引の受注に際して、虚偽の事実を告げてはならず、会員及びその役職員は、取引の受注に際して、虚偽の表示をし、又は重要な事実につき誤解を生じせしめるべき表示をしてはなりません。会員及びその役職員は、取引の受注に際して、偽計を用い、又は暴行若しくは 脅迫をしてはならず、会員及びその役職員は、利用者からの取引の注文を誘発するために、利用者に対して、当該会員において取り扱っている仮想通貨の取引が実際よりも活発に行われているかのように見せかける表示をしてはなりません。

さらに、会員の役職員は、利用者からの取引注文を会員に通さずに、他方で当該利用者に対しては当該注文を会員に通したかのように装って、自らが相手方となって取引してはなりません。会員は、当該会員の利用者との間で、自らが相手方となって仮想通貨の売買等の取引を行う場合には、利用者にあらかじめその旨を明示した上で、当該利用者の同意を得なければなりません。

これら架空名義取引、虚偽・偽計・偽装、ノミ行為などの禁止のほかに、無断取引、利益供与、遅延行為、不正取得、空売り、名義貸しなどの禁止についても、この規則において詳細に規定されました。
(次回へ続く)