翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その14

今回は「勧誘及び広告等に関する規則」の要点を紹介します。この規則は総則、勧誘、宣伝広告、業務管理、誤認防止などという5章計33条により構成されます。

規則の目的

この規則は、会員により行われる利用者との仮想通貨の売買等その他利用者保護を図る必要のある仮想通貨関連取引について、利用者に対して取引を勧誘する行為及び取引の勧誘を目的とする広告並びに景品類の提供等に関し、その適正な業務運営に関する基本事項を定めることにより、勧誘及び広告等の適正化を図り、もって利用者の保護に資することを目的とします。なお、この規則において「会員」とは定款第8条第1項第1号に規定する第一種会員を指します。

勧誘の基本姿勢

この規則によると、会員は、取引の勧誘に際して、利用者保護の精神に則り、取引の信義則を遵守し、品位の保持を図るために、利用者に対して的確な情報を提供しなければなりません。会員は、利用者の取引経験、取引目的、財産の状況等を慎重に勘案し、利用者の意向と実情に即した取引の勧誘を行わなければなりません。会員は、勧誘に際しては、自己の判断及び責任で取引を実施すべきことを、利用者に対して適切に理解させなければなりません。

また、会員及びその役職員は、仮想通貨交換業者以外の者に、会員のために、利用者に対して仮想通貨関連取引の勧誘を行わせてはなりません。さらに、特別の利益提供の禁止、虚偽・偽計の禁止、断定的判断の提供禁止、大量推奨販売等の禁止、仮想通貨関係情報を利用した勧誘の禁止、対当取引の勧誘禁止なども詳細に規定されます。

広告宣伝等の基本姿勢

この規則によると、会員は、広告又は景品類の提供を行う場合には、利用者保護の精神に則り、取引の信義則を遵守し、品位の保持を図らなければなりません。会員は、広告の内容に関し、的確な情報をもって、明瞭かつ正確に表示しなければなりません。会員は、実施する広告又は景品類の提供が本規則に反することが明らかとなった場合には、速やかに、本規則に則した取扱いとするために必要な措置を取らなければなりません。過去に実施した広告又は配布した景品類についても、その回収に努めなければなりません。

ちなみに、会員は、仮想通貨関連取引(証拠金取引を除く。)に関し、広告を行う場合には、次の各号に掲げる事項を表示しなければなりません。

(1)会員の商号又は名称

(2)仮想通貨交換業者の登録番号

(3)協会に所属する旨

(4)広告内容に関する問い合わせ方法

(5)取引に関し、利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項

イ 取引に関して利用者が支払うべき手数料、報酬その他の対価

ロ 仮想通貨に内在するリスク

ハ 仮想通貨関連取引に関する重要な事項について利用者の不利益となる事実

会員は、証拠金取引に関し、広告を行う場合には、前項各号に定める事項のほか、 次の各号に掲げる事項を表示しなければなりません。

イ 証拠金取引に関して利用者が取引証拠金、保証金その他の担保を預託しなければならない場合には、その旨及び預託する額又はその計算方法

ロ 証拠金取引において、利用者が預託する証拠金等を上回る損失が発生する可能性がある場合にはその要因と理由

ハ 証拠金率(当該比率を算出することができない場合にあっては、その旨及びその理由)

また、会員は、公序良俗に照らして不適切な場所等(インターネット上のホームぺージなど広告の内容を伝達するための一切の手段を含む。)及び時間を利用して広告を行ってはならず、利用者の射幸心又は競争心を煽ることを目的として、広告又は景品類の提供を行ってはならず、特定の仮想通貨又は仮想通貨指数の取引を過度に推奨する目的をもって、広告及び景品類の提供を行ってはならず、景品類を提供する場合には、不正競争防止法及びその関連法規に従い、会員間の公正な競争環境を乱すことなく、これを実施しなければなりません。

(次回へ続く)