翁 道逵 ベリーベスト法律事務所パートナー(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その12

日本仮想通貨交換業協会(以下、「認定協会」という)は25個の規則を実施しております。今回は、「定款の施行に関する規則」、「 仮想通貨関連取引に係る自主規制基本指針」の要点を紹介します。

定款の施行に関する規則

この規則は、認定協会の定款第 6 条の規定に基づき、定款の施行に関し必要な事項を定めています。入会及び退会手続き、第二種会員対する指導、会員の報告事項、会員名簿の記載などが詳細に規定されています。

この規則によると、認定協会は、定款第 9 条第 1 項の規定に従い、第二種会員として入会を希望する者であって、資金決済に関する法律第 63 条の 3 第 1 項に規定する仮想通貨交換業者の登録(以下、「仮想通貨交換業登録」という。)を受けようとする者に対して、法及び認定協会の自主規制規則への適合状況の確認その他必要な指示を行います。認定協会は、仮想通貨交換業登録を受けようとする第二種会員に対し、仮想通貨交換業登録の準備に係る支援及び関係法令並びに認定協会の自主規制規則の遵守態勢に関する指導を行います。

仮想通貨関連取引に係る自主規制基本指針

この指針は、会員が仮想通貨関連取引の業務運営に関し遵守すべき基本指針を定めることによって、仮想通貨関連取引に関するサービスの適切な実施を確保し、もって、その利用者等を保護することを目的とします。

この指針は、会員の経営管理、法令遵守、不祥事件に対する対応などを詳細に定めています。会員は、仮想通貨関連取引に係る業務の健全かつ安定的な経営を行うために、この指針に定めた事項を経営管理の基本として定め、仮想通貨関連取引の実施のために必要な社内体制を整備しなければなりません。また、会員は社内体制が有効に機能しているかについて、営業部門及び内部統制部門から独立した内部監査部門をして、この指針に定めた体制を整備しなければなりません。会員の経営陣は、業務推進や利益拡大といった業績面のみならず、必要な社内体制等の整備を経営上の最重要課題として位置付けた上で、その実践のための具体的な方針の策定及び周知徹底について、誠実かつ率先して取り組まなければなりません。

特に不祥事件に対する対応について、会員は、役職員に仮想通貨関連取引に関し法令に違反する行為又は仮想通貨関連取引に関する業務の適正かつ確実な遂行に支障を来す行為(以下「不祥事件」という。)があったことを知った場合には、当該事実を知った日から 2 週間以内に、認定協会に対して、次の各号に掲げる事項を報告しなければなりません。

(1) 当該行為が発生した営業所の名称

(2) 当該行為を行った役職員の氏名又は名称及び役職名

(3) 当該行為の概要

会員は、法令遵守等に係る体制の一環として、不祥事件が発覚した場合には、速やかに次の各号に掲げる措置を講じなければなりません。

(1) 社内規則等に基づく内部管理部門及び取締役会その他これに準ずる意思決定機関への迅速な報告

(2) 刑罰法令に抵触しているおそれのある事実については、警察等関係機関等への通報

(3) 内部監査部門による不祥事件の調査・解明の実施

(4) 再発防止のための改善策の策定及び関係者の責  任追及

(5) 不祥事件によって影響が生じた利用者を保護するために必要な措置の実施

次回へ続く